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誤嚥性肺炎を防ぐために、より安全で正しい口腔ケアを

正しい姿勢での口腔ケアが大切
 いくら正しい道具を使って、正しい磨き方をしても、姿勢が正しくなければ意味がありません。というのも、正しくない姿勢で口腔ケアを行いますと、微生物を含んだだ液や歯磨き粉などを誤嚥(ごえん)してしまう可能性があり、誤嚥性肺炎を引き起こすこともあるからです。特に、脳の病気でマヒを起こしている人の場合、口内に水分を溜めていられなかったり、十分にすすぐことができなかったりと、正しいケアができないケースが多く見られます。では、口腔ケアの正しい姿勢とは、どのような姿勢なのでしょうか?

口腔ケアはあごを引いて
 正しい口腔ケアの姿勢の基本は、あごを引いている状態です。あごを引いていますと、のどの奥と気管との間に角度ができ、だ液や歯磨き粉を誤嚥する可能性が低くなるのです。自分でケアをしている人は、その様子を注意深く観察しましょう。介助が必要な人や寝たきり状態の人などは、介助する人が目線の高さを合わせ、あごを引いてもらうように促しましょう。

介助する人が上の方からケアをしようとしますと、要介護者は上を向くことになり、自然とあごは上がります。すると、のどの奥と気道とが一直線になり、だ液や歯磨き粉を誤嚥しやすくなってしまうので注意してください。

マヒ患者は特に念入りにケアを
 病気の後遺症などで手足にマヒがあるのと同じように、口内にマヒが出る場合もあります。舌を出すとマヒしている側に舌が曲がったり、マヒしている側からだ液が出たり、またそのためにマヒしている側の口の端がいつも赤く炎症が起こっていたりと、口内マヒはその状態から判別することができます。

口内マヒを起こしていますと、マヒしている側に食べ物が残ったままになっていたり、動きが悪いために微生物が溜まりやすくなっていたりと、特に念入りにケアする必要が出てきます。マヒしていない側の手で口腔ケアを行うことももちろん可能ですが、その場合、マヒしている側の感覚が鈍くなっているために、ケアが不十分になってしまいます。「自分で磨いているから大丈夫」と言われても、きちんと口の中の状態を見て、「食べ物が残っていないか」「変な臭いがしないか」といったことを確認するようにしましょう。

胃ろうや鼻チューブでも口腔ケアは必要
 胃に穴を開けて体表から直接栄養を摂る「胃ろう」や、鼻にチューブを通して栄養を摂っている人の場合、「口を使っていないのだから、口腔ケアは必要ない」と思われがちですが、それは大きな間違いです。

たとえ口を使っていないとしても、口内には、粘液がはがれたものや痰などで非常に不衛生な状態になっています。そうしたものを飲み込んだり誤嚥したりして、誤嚥性肺炎を引き起こすこともしばしば。そういった事態を防ぐためにも、胃ろうや鼻チューブをしている人ほど、念入りに口腔ケアをしなくてはならないということを覚えておいてください。

 



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