安定した入浴に必要なのは、浮力に負けないということ
浴槽に入る時よりもむしろ、浴槽の中の方が不安定になりがち。浴槽に入る時には利用できた浮力が、浴槽の中ではからだをフワフワと浮かす作用をするためです。
では、どうすれば安定した状態で浴槽につかることができるのでしょうか?基本的な浴槽のつかり方と、安定してつかるためのちょっとした工夫についてお教えしましょう。
基本的な浴槽のつかり方に3つのポイント
安定して浴槽につかるためには、「前かがみの姿勢をとること」「浴槽の縁をつかむこと」「足で浴槽の壁を押すこと」の3つが基本になります。
前かがみになっておけば、頭の重心が後ろへ倒れることがなく、ずり落ちるようにして沈む心配がありません。また、浴槽の縁をつかむのも同じ理由です。この時、なるべくからだから遠い方の縁をつかみますと、より安定性が増します。
足で浴槽の壁を押すことで、からだが浴槽に密着し、不用意に浮き上がったりすることを防げます。浴槽の広さにもよりますが、ヒザを軽く曲げ、足の裏を浴槽にぴったり着けるようにしておけば大丈夫でしょう。
3つの工夫で、より簡単に、より安定して浴槽につかれる
片マヒがあったり、また前かがみになるのが難しかったりする人には、以下の3つの工夫で簡単に、そして安定して浴槽につかれるようになりますので、ご紹介しましょう。
片マヒがある人は、からだが左右どちらかに傾いて、不安定になる場合もあります。そんな場合では、からだを浴槽の角の部分に着けると、より安定して浴槽につかることができます。左右に倒れることができないのですから、当然と言えば当然ですね。もちろんこの時も、少し前かがみになって、からだが後ろに倒れないように注意してください。
前かがみになるのが難しいという人の場合は、浴槽の中に小さなイスを入れ、その上に座ると良いでしょう。こうすることで受ける浮力の作用が小さくなるため、からだが浮きにくくなります。肩までしっかりお湯につかれないのが難点ではありますが、それよりも安定性を重視しましょう。
浴槽の壁に足が届かないという人の場合は、足台を横向きにして浴槽内に入れ、浴槽自体の奥行きを狭めてしまえばOKです。別名・浴槽台とも呼ばれる足台の中には、高さが調節できたり、安定性を高めるために脚の部分に吸盤が付いていたりするものがありますので、そういった商品を利用すると良いでしょう。
介助にもちょっとしたコツがある!?
要介護者が浴槽につかっている時に、バランスを崩したり、またからだが後ろに倒れて沈んだりすることがありますが、そうした時は何よりも慌てないことが大事です。後ろに倒れてしまった時は、要介護者の背中を押して前かがみの姿勢をとらせれば、自然と元通りになります。その状態でおしりを両手で挟むようにして持ち、浴槽の壁の方へグッと引き寄せれば、より安定性は増すでしょう。
安定性のある姿勢に戻ったら、冒頭にご紹介した「前かがみの姿勢をとること」「浴槽の縁をつかむこと」「足で浴槽の壁を押すこと」という3つのポイントを再確認し、繰り返し沈んだりしないように注意しましょう。