“飲み込む”という仕組みを解説
人間が食べ物を飲み込む際には、重力によって食べ物がノドを通り、胃へと運ばれていきます。あごが上向き、口がノドよりも高い位置にありますと、この重力によって食べ物が勝手に落ちていてしまいます。すると、食道と気道は準備ができていないままに食べ物が送り込まれてくることになり、気道に食べ物が入ってしまう「誤嚥(ごえん)」という結果を招いてしまいます。しかし、前かがみになることで口がノドより下になり、勝手に食べ物が落ちていくということはなくなります。そうして人間は、無理なく飲み込むという行為を実現しているのです。
飲み込むという行為には、呼吸との深い関連性があります。食べ物を無理なく飲み込み、誤嚥をしないためには、2つの過程においてそれぞれポイントがありますので、それぞれを説明していきましょう。
食べ物が口にある時の2つのポイント
当然ですが、人間が食べ物を飲み込む前には、口の中に食べ物を入れる必要があります。それを無理なく飲み込むためには、「食べ物が適度な大きさであること」「食べ物に適度な湿り気があること」というポイントがあるのです。
大きなじゃがいもを飲み込もうとしたらノドに詰まりそうになったり、逆にひと粒の米を飲み込もうとしても上手く食道に送れなかったり。また、クッキーを食べようとしたらノドにひっかかるような感覚を味わうなど。これらは、2つのポイントが押さえられていないために起きる弊害であり、特に高齢者では窒息などの原因になる危険性があります。
そのため、適度に噛むこと、そして乾燥した物を食べる時は水分を一緒に摂るなど、適切な食べ方が非常に大切になってくるのです。
飲み込む時のポイントとは?
食べ物を飲み込む時には、「鼻での空気の出入りが一瞬止まること」というポイントがあります。食べ物が口の中にある時、人間は鼻で呼吸をしており、鼻から鼻腔、ノド、気道、肺という順序で空気が送り込まれていきます。しかし、飲み込む時はどうでしょう?意識したことはないと思いますが、一瞬でも、呼吸は止まっているはずです。なぜなら、人間の気道と食道はつながっているからです。喉頭蓋と呼ばれる弁が開いたり閉じたりすることで、誤嚥しないようになっています。
食べ物を飲み込むタイミングでは、口とノド・鼻とノドの間の弁が閉じ、気道もフタをされるために呼吸が一瞬、止まっています。これは、無意識のうちにできているはずですが、例えば自律神経失調症などのケースでは、弁が上手く開閉しないためにむせるという症状が出る人がいます。こうしたケースに該当する場合は、すぐに医師の診断を受けるようにしましょう。