熱中症は、身体の中の水分や塩分が不足して脱水状態になり、身体の調整機能が正常に働かなくなり、体内の熱を皮膚から体外に放出することが出来ずに、体内の温度が異常に上昇することにより、身体に様々な変調を来す症状のことをいいます。
熱中症は、最高気温が25℃以上になると患者が増えて、30℃を超えると死亡者が増えると言われている。気温が低くても、湿度が高いと汗の蒸発が難しくなります。気温が25℃以下でも、湿度が80%以上ある時などには、注意が必要となります。
日差しが強いときには、直射日光だけで無く、地面からの照り返しによって、高温に曝される危険性が高まります。コンクリートやアスファルトでは強く、芝生や土では弱くなります。風が弱い時にも、汗をかいても蒸発しにくくなり、体内の温度を一定に保つ効果が弱まってしまいます。
≪熱中症の環境因子≫
①高い気温
②高い湿度
③弱い風
④強い日差し
⑤強い照り返し
⑥強い輻射熱
⑦急に暑くなる
など
≪熱中症の危険信号≫
①高い体温
②赤い・熱い・乾いた皮膚(全く汗をかかず、身体に触るととても熱い)
③ズキンズキンとする頭痛
④めまい、吐き気
⑤意識の障害(応答が異常、呼びかけに反応しないなど)
熱中症は、屋外だけで無く、屋内でも40%の発症率(2010年・さいたま市)となっており、夜間(21時から6時)の間でも、約10%が夜間に発症(2010年・東京都)しています。
高齢者が熱中症になりやすい原因としては、皮膚血流量や発汗量を調整することで、体温の上昇を防ぐという体温調節機能や、温度が高いと感じる皮膚温度感受性などの低下が見られたり、体内の水分が少ないために、発汗した場合に水分不足になり易く、水分不足になっているにもかかわらず、のどの渇きを感じにくくなっていることなどがあります。2010年の統計では、熱中症患者の46%が、65歳以上の高齢者となっており、65歳以上の高齢者の熱中症患者のうちで、半数以上が住宅内で熱中症になっています。
高齢者に対する熱中症予防の留意点として、①のどが渇かなくても水分補給、②室温を28℃に保つために、部屋の温度をこまめに測る、③体温調節機能の低下を防ぐために、1日1回汗をかく運動をするように心がけることが、熱中症環境保健マニュアル(環境省)では上げられています。
熱中症の予防には、体内に熱をこもらせて、体内温度が上がることを防ぎ、ホメオスタシスを維持する工夫が、最も必要な対策であると考えられます。ホメオスタシスの維持のためには、水分とミネラルの消失を過不足無く補いながら、発汗を妨げない、発汗を促すことなどの工夫が必要となります。
参考:http://www.env.go.jp/chemi/heat_stroke/manual.html/熱中症環境保健マニュアル(2014年3月改訂版)・環境省
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