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認知症の治療は薬物治療を検討する前に認知症ケアやリハビリテーションの介入をまず考慮

認知症の治療においては、認知機能の向上や認知症の行動・心理症状(BPSD)の低減を目的とした薬物療法が行われていますが、認知症ケアのアプローチの基本は、生活障害を改善するために、認知症の方がその人らしく暮らせるように支援することが基本であるとされています。

認知症の治療では、薬物療法を開始する前に、適切な認知症ケアやリハビリテーションの介入を考慮する必要があり、薬物療法開始後は、有害事象のチェックを含めた定期的な再評価が重要であると考えられています。

認知症ケアの基本は、「パーソン・センタード・ケア(person-centerd Care)」とされ、その人らしさを維持することを大切にして、認知症になっても「いつでも、どこでも、その人らしく」暮らせるように支援して、本人の言動を本人の立場で考えて見ることであります。

≪認知症ケアの原則≫

①尊厳、利用者本位:その人らしく暮らせるための支援

②安心、いのちの充実:叱責されない否定されない心地よい環境

③自立支援、リハビリテーション:残存機能に応じた役割を得ることで、心身の力の発揮

④安全・健やかなQOLの達成:医療職とケア職との連携を図りながら安全・健康・予防・余病併発に注意

⑤家族や地域とともに進むケア:その人に「なじみの暮らし」となる環境を継続

リハビリテーションは、医学的アプローチと認知症ケア・アプローチの中間的視点としてアプローチを行うことになります。リハビリテーションは、認知機能や生活能力、QOLの維持・向上を目的としますが、認知機能の向上を直接的に目指すのではなく、1)楽しい時間を共有して、2)快刺激による全般的な脳活性化が生じることで、3)意欲や学習能力の向上が図られ、4)不活発を防いだり残存能力を高めることになり、5)二次的に認知機能の向上が図られることを期待されています。

脳を活性化して生活能力を維持・向上させるリハビリテーションの原則は、認知症高齢者が①快刺激を得る、②他者とのコミュニケーションを得る、③役割と生きがいを獲得する、④正しい方法の反復支援を受けることであります。リハビリテーションの有効性は、リハビリテーションの方法よりも①~④の原則が遵守されているかどうかに大きく影響されると考えられています。

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