帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)によって引き起こされる疾病です。初めてのVZVへの感染では、水痘(水疱瘡:みずぼうそう)が発症します。水痘は、一度発症して治癒すれば、通常は再び感染することは無く、二度と水痘が発症することはないとされています。
水痘・帯状疱疹ウイルスは、水痘が治癒するまでに、神経節内に入り込んでしまいます。VZVは、水疱が治癒した後でも、感染者の身体にある神経節内に潜みつづけることが出来ることから、水痘が発症して治癒した後に、VZVの潜伏感染になります。
水痘の治癒後は、潜伏感染者が持つ免疫の働きにより、水痘・帯状疱疹ウイルスは、活動が押さえ込まれ続けます。潜伏感染者の加齢や疾病、ストレス、過労などが起因となって、感染者の免疫が低下することで、VZVが活動する事が出来るようになり、帯状疱疹が発症することになります。
水疱に感染したからといっても、必ずしも帯状疱疹になるわけではなく、VZV感染者のうち10人に1~2人程度の発症率であるといわれています。発症は、50歳代から70歳代にかけて多く見られます。通常は、帯状疱疹も一度発症して治癒すれば、再び発症することはまれといわれています。
帯状疱疹の発症は、身体の左右どちらか一方の神経に沿って、症状が帯状に生じる特徴があります。発症する部位は、胸から背中にかけて最も多く見られ、頭部から腹部までの上半身が80%以上を占めています。また、顔面のうち目の周囲も生じやすく、失明や顔面神経麻痺などのおそれがあるため、特に注意が必要とされています。
帯状疱疹の症状は、はじめはピリピリチクチクした痛みから始まり、しばらくすると痛みのある部位が発赤して、やがては水ぶくれと共に激しい神経の痛みを伴います。痛みが始まってから水ぶくれが治るまでの期間は、通常約3週間~1ヶ月とされています。痛みも水ぶくれが治る頃には、多くは治まりますが、帯状疱疹後神経痛となることで、水ぶくれが治っても疼痛が残ることがあり、高齢者には多く見られるといわれています。
帯状疱疹は、ヒト-ヒト感染は、帯状疱疹としてはありませんが、水痘に感染したことの無いヒトには、水痘として感染する可能性があります。
帯状疱疹を予防する事は、潜伏感染状態から水痘・帯状疱疹ウイルスが活動するようにならないように、心身の安定を図り、体力・抵抗力を保つことが唯一の方法であると考えられます。ストレス耐性を高めることやストレッサーの除去、疲労回復に努めて、十分な睡眠と適度な運動、バランスの良い食生活を心がけて、規則正しい生活を過ごすことが一番となります。
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