足白癬は、足ふきマット、スリッパなどを共用することで、足に皮膚糸状菌が足に付着して、長時間、温度が20~40℃、湿度が60%以上という、菌の生存に好ましい環境にあった場合に、足裏や足趾などに棲み着くことが可能になり感染が成立します。
皮膚糸状菌が足に付着した場合でも、素足で過ごすなど、足を十分に乾燥することが出来れば、足に付着した菌は剥がれ落ちてしまい、感染に至らずにすむと考えられます。皮膚糸状菌が付着したままで、靴下や靴などを履くことで、菌にとって好ましい環境が得られることによって、足白癬が発症することになります。
足白癬は、靴・パンプス・ブーツなどの通気性の悪い履き物を履く時間の長さに合わせるようにして、20歳を過ぎると急増して行きます。子どもでは、長時間靴下・靴を履く機会が少ない場合には、皮膚糸状菌が付着し続けることが難しくなることから、足白癬になりにくいと考えられます。
足白癬患者の家庭にある足ふきマットや、温泉場、銭湯などの他人と共用することがある足ふきマットには、ほぼ100%に皮膚糸状菌が存在すると考えられています。足白癬が発症した人が、皮膚糸状菌を家庭内の感染源となり、家庭内の畳、床、スリッパ、マットなどに付着させる(ばらまく)ことで、家族などに感染を広げる可能性が出て来ます。
足白癬は、足の裏に小さな水膨れが生じ、水膨れが破れると皮が剥ける小水疱型(汗庖型)と足趾間の皮がむけたり、白くふやけたりする趾間型、足の裏にヒビやあかぎれのようになって、ひび割れを起こしたり足裏が硬くなる角質増殖型に分類されています。
小水疱型、趾間型は、季節的に暖かくなると症状が出て、涼しくなると自然に症状が治まる傾向があります。症状が治まっても治癒したわけではなく、菌の増殖が止まる秋以降になると、菌が少なくなるだけで、皮膚糸状菌は残っており、春になり暖かくなると、再び足白癬の症状が現れることになります。
足白癬は、角質増殖型を除けば、季節変動があることが特徴とされていますが、足白癬で痒みの症状が出るのは10%程度といわれています。痒みの自覚症状=足白癬と自己判断しているうちで、13~30%は足白癬ではないとされています。従って、足白癬(水虫)の治療をしても効果は見られないことになります。
自覚症状が見られるようになって治療をすることになる場合が多いのですが、同居家族などがある場合には、症状が無くても、他の人にも足白癬に感染している可能性があります。治療を受けるヒトだけでなく、同居している足白癬・爪白癬感染者全員を同時に治療しなくてはなりません。さらに、家庭内の掃除を一斉に行って、菌を除去しない限り再感染が起きることになります。
足白癬に長期間罹患すると、爪白癬を合併することになってしまいます。爪白癬は、足白癬とは異なり、抗真菌薬の内服療法を行わないと治癒することはありません。実際には、内服療法を受けている人が少ないことから、爪白癬の頻度が年齢に比例して増加して行きます。爪白癬の患者が、皮膚糸状菌の恒常的な感染源となってしまいます。
爪白癬の症状は、痒くなることはありません。爪が白~黄色に濁って肥厚する。爪の下がボロボロになってしまいます。病変は、爪の先端からはじまり、徐々に根元に拡大することが多く、爪の先端から黄白色の筋が縦に走ることがあります。爪の肥厚が著しくなると、靴に当たって痛みが出たり、歩きにくくなることもあります。
爪白癬になると、足白癬以上に長期間の内服治療が必要となることから、出来るだけ足白癬の治療を必要十分に行って、爪白癬を合併することの無いようにする必要があると考えられます。足の爪だけで無く、手の爪にも爪白癬は発症しますが、手の爪だけの爪白癬は無いと考えられています。
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