トップ > お役立ち情報TOP > 介護職員初任者研修 > -過活動性膀胱-尿意切迫感がある患者の数は40歳以上では810万人

-過活動性膀胱-尿意切迫感がある患者の数は40歳以上では810万人

過活動性膀胱は、急に起こる抑えられないような強い尿意で、我慢することが困難な≪尿意切迫感≫を必須の症状とした症状症候群であります。過活動性膀胱には、【頻尿:日中の排尿回数が多すぎる症状】と【夜間頻尿:夜間に排尿のために1回以上起きなければならない症状】を、通常は伴うとされていますが、[切迫性尿失禁:尿意切迫感と同時または尿意切迫感の直後に、不随意に尿が漏れる症状]は、必須ではないと考えられています。

過活動性膀胱とは、膀胱内に尿がそれほど溜まっていないのに、排尿筋が収縮して、膀胱が活動しすぎることになり、急に尿意を催してしまう、尿意切迫感を感じて、頻尿になってしまう疾病です。ヒトがトイレへ行く回数は、日中で5~7回、寝ている間は0回が正常と言われています。

過活動性膀胱の有病率は、過活動性膀胱の条件として、排尿回数が1日8回以上かつ尿意切迫感が週1回以上とした場合に、我が国の40歳以上の有病率は、12.4%以上で810万人と推計されています。

過活動性膀胱のQOLに対する影響についての調査結果では、「影響ある」以上が11.2%、「少し影響ある」以上が53.0%となっています。トイレの不安や尿失禁など排尿の失敗や不安のために、IADLやADLに大きな影響をおよぼして、QOLの低下を引き起こしかねない深刻な疾病であると考えられています。

過活動性膀胱の原因には、≪神経因性≫と≪非神経因性≫との2種類に大きく分けられます。

●過活動性膀胱

Ⅰ.神経因性

①脳幹部橋より上位の中枢の障害

⇒脳血管障害、パーキンソン病、多系統萎縮症、認知症、脳腫瘍、脳外傷、脳炎、髄膜炎

②脊髄の障害

⇒脊髄損傷、多発性硬化症、脊髄小脳変性症、脊髄腫瘍、頸椎症、後縦靱帯骨化症、脊柱管狭窄症、脊髄血管障害、勢髄炎、二分脊椎

Ⅱ.非神経因性

①下部尿路閉塞

②加齢

③骨盤底の脆弱化

④特発性

●除外すべき疾患

①膀胱の異常:膀胱癌、膀胱結石、間質性膀胱炎(膀胱痛症候群)

②膀胱周囲の異常:子宮内膜症など

③前立腺・尿道の異常:前立腺癌、尿道結石

④尿路性器感染症:細菌性膀胱炎、前立腺炎、尿道炎

⑤その他:尿閉、多尿、心因性頻尿、全身性疾患(糖尿病、心不全など)、行動や身体機能の異常、アルコールやカフェイン摂取などの生活習慣、薬剤の副作用など

過活動性膀胱についての日常生活での留意点は、身体を冷やさないように、特に下半身を冷やさないように注意する。入浴の際には、ぬるめのお湯にゆっくりと浸かって、血液の循環を良くすることに心がける。同じ姿勢での作業を続けることは避けて、1時間に1回は作業を休んで身体を動かすようにする。

三度の食事と十分な睡眠、定期的な排便習慣など、規則正しい日常生活への取り組みや、適度な運動を行うこと、、野菜や果物を摂るようにする一方で、アルコール、カフェイン類や刺激の強い食べ物を控えることなどを、日常的に心がける。

水分の取り過ぎには注意しながらも、脱水にならないように、必要となる水分摂取量は得るようにする。外出時などでは、早めにトイレに行くようにし、尿閉や感染症(膀胱炎など)の予防のために排尿を我慢しすぎないことが必要と考えられます。

602239



お読み頂いた記事は参考になりましたか?より有益な情報は会員限定のメルマガで無料配信しております。
矢印まずはメールアドレスを入力して会員登録してください。


関連記事
認知症のBPSDのために行われる薬物治療の進め方とポイントとなる薬物治療検討のための4つの条件
認知症の治療は薬物治療を検討する前に認知症ケアやリハビリテーションの介入をまず考慮
認知症の鑑別診断で中心となるのは神経心理検査による診断で画像診断は補助的診断
認知症高齢者のいのちを保つため認知症の進行を抑止するためには心地好い口腔ケアが必要?
認知症高齢者の活動性低下を防ぐにはフレイルティ・サイクルを断ち切るのが一番?
認知症高齢者の低栄養の原因は認知症のために美味しく・楽しく・心地好く食事が出来なくなること?
-便秘-認知症の高齢者の便秘予防や対策に特に必要と考えられる4つの配慮
-脱水-高齢者が脱水症になりやすいのは若年者に比べると体内の水分量が不足して脱水になってるから?
-軽度認知障害-認知症の早期発見・早期治療のために期待されている軽度認知障害の有症率は11~17%
-特発性正常圧水頭症-原因疾患が特定出来ない60歳以上の高齢者に起きる正常圧水頭症

Facebookをされている方は以下より「いいね!」して頂ければ、定期的に情報を配信致します。