関節リウマチ(RA)は、自己免疫疾患の中で最も多く見られる疾病です。関節リウマチは、人口の0.4~0.5%、30歳以上の1%が罹患しているとされており、30~50歳代で発症する人が多く、男女比はおよそ1:3の割合となっていて、女性に多い疾病と一般的には知られています。
関節リウマチは、疾病の進行を止めることが困難でありましたが、治療薬の改良や副作用のコントロールが行われ、予後が改善されるようになり、寛解も可能な疾病となって来ています。関節リウマチの予後が改善される事によって、高齢の関節リウマチ患者が増加しているだけでなく、関節リウマチの発症年齢も高年齢化して来ています。関節リウマチが60歳未満で発症したものをYORA、60歳以上で発症したものをEORA(elderly-onset rheumatoid arthritiso:高齢発症関節リウマチ)と分類されています。
EORAでは、①YORAに比べると男性の発症率が高い、②手指・足趾関節炎が少なく、膝・肩・肘などの大関節炎が多い、③大腿部や上腕部の筋肉痛や体重減少、リウマチ性多発筋痛症様症状などの関節以外の症状が多い、④血液検査でのリウマトイド因子、抗CCP抗体などの自己抗体が陰性の場合が多い、⑤活動性が高く骨破壊が発症早期に最も進行するなどの特徴があります。
EORAでは、高齢者の特徴として、①腎機能の低下による薬物排泄遅延、②薬物代謝機能の低下(特に薬物代謝機能)、③総水分量や筋肉量の減少による薬物の血中濃度の増加、④併存疾患に伴う多剤併用による薬物相互作用)の増加、⑤免疫能の低下などによる≪薬の副作用≫、≪副作用の重症化≫、≪回復の遷延≫に注意が必要となります。
関節リウマチは、【臨床的寛解:炎症反応と自他覚症状の消失】、【構造的寛解:関節破壊の進行抑制】、【機能的寛解:身体機能の維持】を目指す治療が行われるようになっています。EORAでは、≪薬の副作用≫、≪副作用の重症化≫のリスクがある事から、抗リウマチ薬の適切な使用と副腎皮質ステロイドの減量・中止を目指しながら、QOLやADLの低下を防ぐための治療が、それぞれの人の病状や生活機能に応じて必要であると考えられています。
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