生理的老化によって腎機能は低下しますが、併存疾患があることなどで腎機能に病的老化が生じて、慢性腎臓病(CKD)が引き起こされます。我が国では、65歳以上の男性の約30%が、女性では約40%が慢性腎臓病であるとされています。
慢性腎臓病は、腎臓の働きの指標となる糸球体濾過量(GFR)が、健常者の60%以下に低下するか、タンパク尿が出るといった、腎機能の異常が続く状態であります。
慢性腎臓病の自覚症状は、夜間頻尿、手や足のむくみ、立ちくらみや貧血、倦怠感、息切れなどが見られることでありますが、高齢者ではこれらの症状が慢性腎臓病の症状とは考えられず、老化によるものと見過ごされてしまい、腎機能の検査をしてみたら慢性腎臓病が進行していることが多いと言われています。
腎臓は、血液をろ過して、老廃物を尿として体外に排出するだけでなく、体液の量や浸透圧・血圧の調整を図ったり、ナトリウム・カリウム・ナトリウムなどのミネラルのバランスを保ったりするという、ヒトのホメオスタシス、生命維持のためには欠かせない様々な機能を持っています。
慢性腎臓病が進行することによって、腎臓の機能が低下して行き、末期腎不全となれば腎透析が必要となる場合があるだけでなく、高齢の慢性腎不全患者は、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患による死亡リスクが末期腎不全よりも高いとされています。
生活習慣病は、慢性腎臓病の発症因子となるだけでなく、慢性腎臓病が進行する危険因子にもなります。慢性腎臓病は、納所中や心筋梗塞などの危険因子となるという、生活習慣病と慢性腎臓病との併存は、死への相乗効果を持つと言っても過言ではないでしょう。
慢性腎臓病を予防するには、①禁煙、②節酒、③適度な運動、④規則正しい生活、⑤栄養過多・低栄養とならないバランスの良い食生活を心がけることが必要と考えられます。
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