平成24年度(2012年度)からの第6期介護保険事業で、在宅医療連携拠点事業というモデル事業が始まりました。在宅医療拠点事業は、平成27年(2015年)4月の介護保険法の改定により、在宅医療連携拠点として制度化される予定となっております。
<図1>在宅医療連携拠点事業(出典:在宅医療連携拠点事業/厚生労働省)
介護保険制度では、介護保険の在宅サービス・支援の拠点として、居宅介護サービス事業者が設置されていましたが、平成18年(2006年)4月の介護保険法の改定により、介護、福祉、健康、医療など様々な面から必要な援助、支援を包括的に担う地域の総合的な支援を行うための中核機関として、地域包括支援センターが設置されました。
地域包括支援センターは、地域包括ケアシステムの中心となる機関と位置づけられていますが、地域包括ケアシステムが整備途上となっていながらも、在宅医療連携拠点という地域包括支援センターが担うべきと考えられる役割と業務を行う施設が、全国すべての保険者(市町村)に新たに設置される予定となります。
<図2>在宅医療連携拠点が行う事業(出典:在宅医療連携拠点事業/厚生労働省)
横浜市西区のモデル事業の仕組みでは、利用者は直接の相談は行えないように見受けられます。「ご利用できる相談例」を見ても、新たに施設を設けるより、基幹型地域包括支援センターに医師会から専任職員を派遣して、基幹型地域包括支援センターで在宅医療連携拠点活動を行うことが望ましいと思われます。
<図3>横浜市西区在宅医療連携拠点「西区在宅医療相談室」お知らせ(出典:横浜市)
<図4>地域包括ケアと在宅医療連携拠点(出典:在宅医療連携拠点事業/厚生労働省)
<図5>地域包括ケア(出典:在宅医療連携拠点事業/厚生労働省)
(基幹型)地域包括支援センターと在宅医療連携拠点とは、明らかに業務が重複しており、常に報連相が必要な間柄だと思われます。制度改定の度に制度が複雑になり、介護保険制度が始まる前の老人福祉制度や老人医療制度より複雑でわかりにくくなっている感が否めません。
「船頭多くして船山に登る」ということにならないように、制度設計と運用が介護保険法改定までに、十分吟味されることが望まれます。