パーソナリティー障害とは、「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った内的体験および行動の持続的パターンであり、ほかの精神障害に由来しないもの」とDSM-ⅣやICD-10の診断基準では定義されており、KOMPAS(http://kompas.hosp.keio.ac.jp/)には、パーソナリティー障害の「3つのP」という特徴が示されています。
1.Pathological 病的(正常変異の範囲外であること)
2.Persistent 持続的(成人期早期までに始まり、少なくとも最近5年間以上頻繁に現れること)
3.Pervasive 広範(複数の人間関係・さまざまな状況であきらかになり、仕事・家庭・複数の対人関係など。特定に役割に限定しないこと)
パーソナリティ障害は、DSM-Ⅳでは大きな3分類と10種類のタイプに分類されています(出典:みんなのメンタルヘルス/厚生労働省)。
◎A群:奇妙で風変わりなタイプ
●妄想性パーソナリティ障害:広範な不信感や猜疑心
●シゾイド・パーソナリティー障害:非社交的で他者への関心が乏しい
●統合失調型パーソナリティー障害:会話が風変わりで感情の幅が狭く、しばしば適切さを欠く
◎B群:感情的で移り気なタイプ
●境界性パーソナリティ障害:感情や対人関係が不安定さや衝動行為
●自己愛性パーソナリティ障害:傲慢・尊大な態度を見せて自己評価に強くこだわる
●反社会性パーソナリティ障害:反社会的で衝動的、向こう見ずの行動
●演技性パーソナリティ障害:他者の注目を集める派手な外見や演技的行動
◎C群:不安で内向的なタイプ
●依存性パーソナリティー障害:他者への過度の依存、孤独に耐えられない
●強迫性パーソナリティー障害:融通性がなく、一定の秩序を保つ事への固執
●回避性パーソナリティ障害:自己にまつわる不安や緊張が生じやすい
アメリカの研究では、人口の15%がパーソナリティ障害という報告があります。医療機関への受診は、パーソナリティ障害からではなく、他の精神障害との合併によるものがほとんどです。境界性、反社会性パーソナリティ障害と薬物依存、回避性、依存性パーソナリティ障害とうつ病、回避性パーソナリティ障害と社交不安障害などとの関連が強いとされています。
パーソナリティ障害は、乳幼児期などに養育者が身近にいなかったなどの養育環境の不十分さや、乳幼児期から思春期にかけての発達期に辛い体験をしたことが発症の原因と言われ、環境的な要因が強く作用していると考えられていました。パーソナリティ障害の衝動的な行動パターンは、セロトニンが作用する中枢神経系の機能低下と考えられており、環境的な要因だけでなく生理的な要因も関連すると考えられるようになっています。
パーソナリティ障害は、治療が困難であると考えられてきましたが、境界型、自己愛性、反社会性、演技性パーソナリティ障害は、加齢に伴い目立たなくなったり、軽快するという傾向があることがわかって来ています。
パーソナリティ障害の治療は、日常生活で障害となっている問題と対策を、自分自身が積極的に治療に参加して、治療者と長期間にわたって取り組んで行かなければなりません。精神療法や薬物療法などの治療を行う事で回復が早くなると考えられるようになって来ています。