身体表現性障害は、30歳以前に生じた痛みや胃腸症状などの身体症状が何年も続くが、身体的な病気や薬の影響という説明が行えない≪身体化障害≫、随意運動機能や感覚機能についての症状や欠陥が見られる≪転換性障害≫、身体的な異常が見られないのに重篤な痛みが続く≪疼痛性障害≫、重病に罹っているという恐怖や考えに取りつかれている≪心気症≫、自分の外見に欠陥があると過度に思い込んでしまう≪身体醜形障害≫などが含まれる症候群です。
身体表現性障害の診断基準は、①一般身体疾患を示唆する身体症状が存在するが、一般身体疾患、物質の直接的な作用、または他の精神疾患によっては完全に説明されない、②その症状は臨床的に著しい苦痛、または社会的、職業的、または他の領域における機能の障害を引き起こす、③身体症状は意図的でないとされています。
身体表現性障害とは、身体面で「器質的機能的な異常が見当たらない」のに、身体症状を訴え続ける精神障害です。機能的・器質的異常が存在する心身症とは明らかに区別される精神障害です。
身体表現性障害の多くの場合には、身体的に異常が無いことを示されても、自分自身には辛い身体的な症状があるので、精神的な問題があるということに気づいておらず、自分の考えに沿う治療を得るために、ドクターショッピングを繰り返すことになります。
身体表現性障害の治療では、身体面の器質的機能的な異常が見当たらないこと、身体的に問題が無く精神的な治療が必要である事に自分自身が気づくことが必要となります。心理的治療のかかわりが行われることで、精神科への受診につながり、認知行動療法、精神療法や薬物療法などの治療が行われることになります。
<参照>
脳科学辞典:守口 善也/独立行政法人国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/身体表現性障害