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介護職の疾病対策で最優先されるのは腰痛対策であります

腰痛は介護職の職業病と言われており、労働災害としても大きな問題となっており、いろいろな予防や対策のためのガイドラインやマニュアルがあります。腰痛とは、職業病と言われていながらも疾病名ではなく、主に腰部に現れる痛みや張りなどの身体的な症状を表すものです。

腰痛には、からだの異常や損傷と腰痛の症状に関連性が見られる「特異的腰痛」と、からだの異常や損傷と腰痛の症状に関連性が見られない「非特異的腰痛」があります。MRIなどの検査法が進歩する前は、腰痛の原因は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、脊椎圧迫骨折などの疾患が原因と考えられていましたが、現在では腰痛の約85%は「非特異的腰痛」とされています。

腰痛の原因としては、4つの要因が関連し合って生じると考えられています。

1.動作要因・・・①重量物の取り扱い、②人力による人の抱え上げ作業、③長時間の静的作業姿勢、④不自然な姿勢、⑤急激又は不用意な動作など

2.環境要因・・・①振動、②温度等、③床面の状態(滑り易い、段差など)、④照明、⑤作業空間・設備の配置、⑥勤務条件など

3.個人的要因・・・①年齢、②性別、③体格、④筋力、⑤既往症、⑥基礎疾患など

4.心理・社会的要因・・・①仕事への不満や不全感、②上司や同僚からの支援不足、③職場での対人トラブル、④仕事上の相手先やサービス対象者とのトラブル、⑤過度な長時間労働、⑥過重な疲労、⑦職務に対する心理的負荷、⑧職務に対する過大な責任など

厚生労働省が作成した職場における腰痛予防対策指針では、介護等の現場での腰痛予防対策として、①対象者の残存能力等の活用、②福祉用具の利用、③作業姿勢・動作の見直し、④作業の実施体制、⑤作業標準の策定、⑥休憩、作業の組み合わせ、⑦作業環境の整備、⑧健康管理、⑨労働衛生教育等を決定することとしています。

「社会福祉施設における安全衛生対策/厚生労働省」では、「老人介護施設における腰痛予防のポイント」として、介助場面ごとについて具体的な例が示されています。

2014051401<図1>

2014051402<図2>

2014051403<図3>

2014051404<図4>

2014051405<図5>

介護職として腰痛とならないように、腰痛となった場合に腰痛と付き合いながら仕事を続けて行くには、仕事での腰痛予防対策だけでなく、日常生活の中で正しい姿勢を取る事、腰部の筋力を付けること、こころとからだのストレスを溜めないことなどを、自分自身で意識的に行ってゆく事が必要と考えられます。

<出典>

図1~5:社会福祉施設における安全衛生対策/厚生労働省

<参考>

今日の腰痛予防対策マニュアル2012年 介護・看護職版/労働者健康福祉機構

http://www.research12.jp/22_kin/docs/manual_2012.pdf

腰を痛めない介護・看護~質の高いケアのために~/テクノエイド協会

http://www.techno-aids.or.jp/research/vol15.pdf

社会福祉施設における安全衛生対策/厚生労働省

http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/shakai_a.pdf



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