「うがい手洗い忘れずに」と一般的に言われていますが、日常的にうがい手洗いがなぜ必要かという事について、日常生活の中では具体的に説明を受けることはないと思います。
介護職は、介護ケアのサービス・支援の提供を行うにあたって、利用者からの感染予防、利用者への感染予防のために「1ケア、1手洗い」、「ケア前後の手洗い」を行う必要がある事を知っています。手洗いの必要性は、感染症のリスクがある介護ケアを行うので、介護職には必要だと理解していると思います。
感染症のリスクは、介護ケアを行う時にだけあるとは限りません。むしろ不特定多数の人々が集まる場所、電車の中や商業ビルなどの換気の悪い閉鎖された場所の方が、介護ケアの場よりも空気感染の原因となる病原性微生物が、空気中に漂っている可能性は非常に高いと考えられます。
空気感染ばかりでなく、飛沫感染を引き起こす病原性微生物に感染している感染者の咳などにより病原性微生物を吸引したり、接触感染を引き起こす病原性微生物に触れたりすることで、感染症の原因となる病原性微生物が、いつ体内に侵入するかは、介護ケアを行う以上にわからないと言っても過言ではありません。
日常生活の中でのうがいは、空気中に漂っている病原性微生物を吸い込んでしまった場合に、身体の中で定着して感染することを防ぐ目的があります。外出から帰宅したら、外出先から職場に戻ったら、不特定多数の人と接する可能性がある場所から、少数特定の人がいる場所に移った時には、感染症予防のために欠かさずにうがいをする事が必要となります。
うがいはインフルエンザの予防には効果がないと言われたりしていますが、空気感染をする感染症に対しては予防効果があることは明らかになっていますので、インフルエンザ以外の疾患にかかり免疫力や抵抗力を衰えさせることで、インフルエンザなどのより重い疾患になることを防ぐ意味では、うがいは最も効果的な感染症予防法と考えられます。
うがいは、うがい薬の使用はほどほどにしないと、口中やのどの常在菌のバランスを崩すことになって、かえって感染症の危険が増すこともわかっています。うがいは、口の中をきれいにするために、水でくちをすすいでから、10~15秒間ガラガラと2回繰り返すのが良いとされています。
日常生活の中での手洗いは、介護ケアの場での感染症予防ほどには必要は無いと思われますし、必要以上の手洗いは手荒れの原因となって、かえってスキントラブルとなって感染症の原因となりかねませんので、「うがい手洗い忘れずに」と言われるとおりに、健康のため感染症予防のために、うがいと手洗いとはセットにして行うことが効果的と考えられます。