ホームヘルプ(訪問介護)サービスは、1956年に長野県の13市町村が行った「家庭養護婦派遣事業」が始まりとされています。その後、国により1962年に「家庭奉仕員制度設置要綱」が定められ全国で事業化が図られました。現在のホームヘルパーの源となる家庭奉仕員は、1963年に「老人福祉法」が制定されて初めて明文化されました。
1989年に策定されたゴールドプランで高齢者施設の整備と在宅サービスの目標が定められてから、ホームヘルプの充実が図られるようになりました。この時からホームヘルプサービスの従事者が、「家庭奉仕員」という名称から「ホームヘルパー」に変わりました。1991年から1級、2級、3級のホームヘルパー研修が実施されるようになり、介護保険制度が開始されてホームヘルパーは「訪問介護員」と呼ばれるようになりました。
訪問介護の流れは1956年に始まりますが、施設介護の流れは、1950年の生活保護法が制定され、その中に定められた「養老院」が始まりと言えます。1963年に老人福祉法が制定され「特別養護老人ホーム」、「養護老人ホーム」などが設置される事になりました。養老院や特別養護老人ホームなどで、介護の業務に従事していた職種は「寮母」と呼ばれていました。
家庭奉仕員、寮母共に無資格で介護を行っていましたが、それぞれの職種が行っていた在宅・施設介護の実践が、他の専門職と同等以上の利用者への自立支援や重度化防止などの効果があることを国も認めることとなり、介護の専門職として介護福祉士の制度が1987年に定められました。
介護職(家庭奉仕員、寮母)が介護の専門職として認められることで、介護福祉士という資格が生まれました。介護福祉士によって介護ケアが行われることが望まれましたが、高齢化社会の進展と介護保険制度の開始により、介護ケアのニーズは高まるばかりで、介護福祉士だけでは介護ケアを行う事は不可能な状態が続いてきました。
介護福祉士という介護の専門職だけでは、介護ケアのニーズを満たす事は困難であるために、介護福祉士は介護ケアのシニア専門職としての役割を担いながら介護ケアの実践を行い、介護職初任者研修終了者は、介護福祉士資格や介護プロフェッショナルキャリア段位の取得を目指しながら、介護ケアのジュニア専門職としての役割、実践が期待されています。