「介護サービスの根拠とは何か」と問われた時に、「介護保険制度の支援を必要とするひとが、住み慣れた地域での生活をそのひとの能力に応じた自立・自律した日常生活が過ごせるようにするためという目的に基づいているもの」と答えたら、確かに介護保険制度や地域包括支援システムの目指すところなので、包括的な根拠となるものなので間違いではないと思います。
あまりに包括的な根拠を示しても、実際に行う介護サービスについての根拠として、抵抗なく納得できるとは思えません。介護サービスを行う側からの根拠というならば「介護保険制度のケアマネジメントによって作成されたケアプランに基づいているから」、さらには「利用者への介護サービスの提供は、①アセスメント、②ケアプラン作成、③モニタリング、④評価を行うことによって、利用者に必要とされるニーズを達成、解消するサービス・支援だから」となるでしょう。
介護サービスを実際に行う場面では、介護サービスの根拠をひとつひとつ考えていては、実際のサービス・支援の提供に支障が起きますが、具体的な生活援助、身体介護についての根拠というと「利用者とって、それは心身ともに負担が少なく、安心・安全で心地よさが得られ、利用者が主体となる介護サービス・支援が行われる。介護者にとって、効率的、合理的で心身ともに負担が少なく、質の高い介護サービスが提供できる」となると考えられます。
介護サービスは、利用者と介護サービスの提供者と直接身体に接しながらサービス・支援の提供を行う業務のために、理論も大切ですが実践する力、応用する力が大切だと考えれます。日常業務の場面で介護サービスの根拠を考えることは無理としても、介護サービスの根拠となることは、頭の隅にいつでも置いておかなくてはなリません。
介護サービスの根拠についても介護職員が所属する事業所だけでなく、チームアプローチメンバーが共有することが必要となります。どのレベルの根拠をどのようにして共有するかは、事業所やチームのメンバー構成によって異なると思われますが、意志疎通をはかり、認識の違いを解消するための取り組みが、より良い介護サービス・支援の提供には必要と考えられます。
301211