日常生活自立支援事業は、高齢者や障害者を対象として、日常生活で判断能力が不十分なために、福祉サービスの利用や金銭管理等がうまくできない方を支援する制度としています。ただし、支援対象者は、①日常生活自立支援事業の内容について理解する能力がある人、②日常生活自立支援事業の利用意思がある人となっています。
日常生活自立支援事業が支援するサービスは、①福祉サービス利用援助、②金銭管理サービス、③書類などの保管サービス(宝石、貴金属、書画骨董などは除く)という3種類となっています。全国社会福祉協議会(各自治体ごとの社会福祉協議会の大本締め)では、この3つのほかに④日常生活に必要な事務手続きの援助サービスが含まれていますが、各自治体ごとの社会福祉協議会では、④のサービスを①、②のサービスの中に含めているようです。
日常生活自立支援事業の手続きは、各自治体の社会福祉協議会が窓口になり、①相談、②調査、③支援計画作成、④契約、⑤支援の開始となります。支援の決定や継続について、契約締結審査会が利用者の判断能力の有無などを評価し、援助内容の審査を行う場合があります。利用者の判断能力が支援の継続を困難とする状態であると判断されたときには、成年後見制度など他の利用可能な制度への支援を行うことになっています。
日常生活自立支援事業は、高齢者や障害者などの支援を必要とする人々に対して、日常生活での判断が不十分であるために、福祉サービスの利用支援や行政手続きのための支援など、日常生活で必要とされる支援を、地域に根ざした活動を目指している社会福祉協議会が行うという、ある意味では日常生活での支援を求めている人々にとって理想的なサービス、支援であり、重要な社会資源となると考えられます。
しかし、支援対象者が日常生活支援事業の内容を理解することや利用者の判断能力が日常生活支援事業の利用継続に支障があると認められた場合には、サービス、支援が受けられないという、実際にどのような方が利用しているのかを確かめたくなる要件がある事業となっているように見受けられます。
介護の仕事に携わる専門職である介護職としては、日常生活支援事業が良い社会資源となるように、ケアマネジメントのメンバーと諮って、利用促進と要件の見直し等を求めて行くことが望まれます。