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在宅高齢者虐待防止に最も有効な制度は介護保険制度です

高齢者虐待防止法は平成18年(2006年)4月に施行されました。この制度に基づいて、各地方自治体は地域包括支援センターを中心として「虐待防止ネットワーク」の組織化や虐待防止マニュアルの作成などを行いました。

虐待防止ネットワークや虐待防止マニュアルは、実際に虐待が起きている、虐待のおそれがある場合の対応を行う事が主体となっていると考えられ、予防的な役割、機能とそれに伴う権限をどれだけ持っているか疑問を持たざるを得ません。

在宅高齢者虐待の平成24年度の統計では、介護支援専門員(ケアマネージャー)からの相談通報が最も多くなっています。在宅高齢者虐待に介護保険制度におけるケアマネジメントが有効に機能していると同時に、利用者のニーズを十分に把握できず、適切なケアプランのもとでフォーマル、インフォーマルな介護サービス、支援が行われていなかったことを示しています。

虐待防止ネットワークなどの高齢者虐待への対応は、①通報・届出、②情報収集、③事実確認、④ケース会議、⑤チーム編成、⑥ケース支援、⑦評価という流れになっています。④ケース会議で在宅生活が困難と判断された場合は、(a1)入院、(a2)施設入所などの虐待者からの身柄の分離と、(b)成年後見制度の手続きを行うこととなります。

高齢者虐待の対応の流れをよく見てみると、介護保険制度におけるケアマネジメントの流れに酷似しています。①はケアマネジメントでは、居宅介護支援の相談・申込、②、③はインテーク、④はアセスメント、サービス担当者会議、⑤はケアプランの決定と交付、⑥は介護サービス、支援の提供、モニタリング、⑦は評価となります。

高齢者虐待の対応の流れとケアマネジメントが酷似している事は、介護保険制度におけるケアマネジメントが、支援を必要としている高齢者などに対して、①利用者と介護者のニーズを確かめ、②ケアプランで必要なサービス、支援を設定し、③必要十分なサービス、支援がチームアプローチの元で行われ、④利用者と介護者のニーズが改善、解消することが、高齢者虐待防止の最も効果的な日常的な活動である事を示しています。

ケアマネジメントにおけるチームアプローチのメンバーとして、介護職は高齢者虐待防止だけでなく、利用者へ人権や尊厳を守るためにも、専門職としての知識、知見、技術を常に磨きながら、質の高いサービス、支援の提供を心がけなくてはなりません。



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