介護保険は国民健康保険と同じ資格管理を行っています
従来日本の福祉制度は居住地主義という対象となる方が現に居住しているところで福祉制度を利用するという原則を取っていました。介護保険制度が始まる前の高齢者福祉制度も同様に居住地主義を採っていました。
介護保険制度が開始され高齢者福祉制度ついて介護保険制度部分については居住地ではなく、原則として住所地(住民票登録地)での資格管理(被保険者管理)となりました。
なぜ介護保険制度が住所地主義を採ったかは、高齢者福祉制度であったサービス利用については高齢者福祉制度の応能負担から介護保険制度は社会保険制度と同様の応益負担とした事と、介護保険被保険者の資格管理を国民健康保険と同じシステムで運用する事になったためと考えられます。
介護保険は資格管理が国民健康保険と同じですので、介護保険要介護・要支援認定を住民票登録地の市町村にすることになります。
住民票登録地以外で生活している場合に介護保険サービスは使えるのでしょうか
介護保険の資格管理は住民票登録地の市町村で行っておりますが、介護保険のサービス利用は給付管理等をケアマネージャーが行いますので居住地がどこであっても、ケアマネージャーが住民票登録地へ報告、請求業務等を行うため介護保険のサービス利用は住民票登録地以外でも可能です。
居住地でのサービス利用については全ての介護保険サービスが利用できるわけではありません。地域密着型サービスと称される介護保険サービスについては、サービス提供事業者の所在地に住民票の登録が行われていない方については利用が出来ません。
地域密着型サービスとはどのようなサービスがありますか
地域密着型サービスは2006年(平成18年)4月から行われている介護保険制度であります。
要介護認定を受けた方が利用できるサービスは下記のとおりです。
・小規模多機能型居宅介護
・認知症対応型共同生活介護(高齢者グループホーム)
・認知症対応型通所介護(デイサービス)
・夜間対応型訪問介護
・地域密着型特定施設入居者生活介護
・地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(小規模特養)
要支援認定を受けた方が利用できるサービスは下記のとおりです。
・介護予防認知症対応型通所介護
・介護予防小規模多機能型居宅介護
・介護予防認知症対応型共同生活介護
この中で一番の目玉は認知症対応型行動生活介護(高齢者グループホーム)が地域密着型サービスに加わったことでしょう。高齢者グループホームは認知症の方が利用される施設であり事業者所在(施設)の市町村だけで無く、他の市町村の方も多く入所されて来ていますが、地域密着型サービスに加えられてしまったことによって施設所在の市町村に住民票登録が行われていない方の入所は出来なくなりました。
新規グループホーム利用希望者の住民登録地を居所は移さないまま施設所在地に住所のある職員宅に移して入所するという事がありました。本来的には認められるべき手続きではないのですが、介護保険制度では入所にあたって市町村が居住確認をする事はありませんのでこのような事が出来てしまいました。
地域に居住している方のためにと言いながら地域密着型サービスは本当に利用者本位のサービス体系となっているのでしょうか、グループホームと小規模特養とをこのサービスに加えた事は利用者への配慮とは別の目論見が明らかに見えています。