介護保険サービスの給付には限度があります
介護保険サービスの公的給付には要介護・要支援認定の状態区分によって上限が設定されており、介護保険サービス利用を希望する方は限度額までは定率負担(2013年現在、1割負担)で、限度額を超える場合には超過部分を10割負担となります。
介護保険制度の趣旨は介護サービス利用を利用希望者が自由に選択、利用できるという事になっていますが、実際には要介護・要支援認定による給付限度額による枠決め、制限があり自由選択、利用という事からはほど遠くなっています。
介護保険サービスの給付管理は誰が行っているのか
介護保険制度の要となると言われ将来有望な職種の一つとして注目を浴びているのが介護支援専門員(ケアマネージャー、ケアマネ)であります。ケアマネは居宅介護支援事業所及び各施設に義務的に配置されて名称のとおりケアマネジメントを行う職種であるとされています。
ケアマネの主な業務はケアプランの作成と給付管理です。ケアマネは介護サービス計画(ケアプラン)をサービス利用に当たって作成しなくてはなりません。ケアプランは在宅サービス利用を希望する方と契約を結んだ後にサービス利用の希望、必要性、等を勘案してアセスメントを行った上で案を作成して利用者の合意を得た上で最終決定されます。そして、ケアプランに基づいて介護サービス事業者にサービス提供の依頼を行い、利用者とサービス事業者との間で契約が結ばれるとサービスが開始されます。サービス利用が開始されますとケアマネは給付管理を行う事になります。
給付管理はサービスの限度額管理が主なものとなり、全てのサービス利用が公費負担の限度額を超えていないかを管理しています。限度額を超えた場合は利用者の全額自己負担となりますのでその調整をしなくてはなりません。この作業は毎月一回サービス実績管理の上で行われ、ケアプランが変更となった場合には新たに限度額管理を行わなくてはなりません。
ケアマネの業務はケアマネジメントと言われていますが、その実態は公費負担のための給付管理となっています。介護支援専門員実務研修受講試験に合格して実務研修を受けるまでこの事実を知らずに受験される方は今でもいらっしゃると思います。
介護保険制度が始まる前、第一回のケアマネ試験対策研修である県のケアマネ試験対策研修の担当者に「市はなぜ居宅介護支援事業者にならないのか」と尋ねたところ、「給付管理など市がしようとするわけないだろう」と答えられました。実務研修が終わってケアマネの主たる業務がわかって見れば確かにそのとおりで、あの複雑、煩雑な給付管理を行う事はしないと思いました。
介護保険サービス給付抑制が今後もさらに強くなるでしょう
介護保険サービス利用については要介護・要支援認定に基づいて十分なサービス利用が行われるように限度額が設定されているはずですが、国の予算抑制の為に当初から要支援者と要介護者との限度額が利用者側から見ると適切では無いと考えられました。介護保険法が改正?される度に利用者本位の変更が行われるかと期待しましたが、残念ながら給付抑制がますます激しくなるばかりとなっており、定率負担の引き上げや要支援者の介護保険からの分離などとさらなる抑制、負担増を国は目論んでいます。