介護老人福祉施設の入所について
介護老人福祉施設は介護を必要とする介護保険の要介護認定を受けた方が入所される施設です。施設への入所は原則としては利用を希望する施設へ直接申し込みを行って、施設は入所指針に基づいて入所判定会議を行ってその入所順位を決定します。そして、施設に入所が可能となった場合には、入所順位の高い順番に施設での生活が可能な状況かどうか、入所利用を希望しているかどうかを確認して入所契約を行います。
介護保険がはじまってそれまで特別養護老人ホームであった介護老人福祉施設は、老人福祉法に基づく措置という形で入所利用者を受け入れていましたが、制度が大幅にかわり一部の特例を除いて施設への入所は、入所希望者の直接申し込み、施設独自の判断、入所利用者と施設との契約となりました。
介護福祉施設入所手続きの変遷
介護保険制度となるまでは福祉事務所が入所候補者を決定して、特別養護老人ホームに定員の空きが出来ますと、その入所候補者待期名簿順に入所措置を決定していましたので、入所者も施設も福祉事務所の措置決定に従わざるを得ませんでした。ところが介護保険制度となってからは、入所者も施設も利用について自らが判断し契約を結ぶことになり、施設数が絶対的に不足している都市部などでは、施設利用希望の要介護者は利用可能な施設すべてに申し込みを行うような事態が起きてしまいました。
このような事態になり入所希望者は数多くの施設当てに申し込み手続きをし、申し込みを受けた施設側はひとりひとり会議に諮り入所候補者として決定する作業をしなくてはならなくなりました。そして、入所希望者は施設入所をした場合はもちろん施設利用が困難になった場合などで申し込みを取り下げる場合には、申し込みした施設に取り下げの手続きを行わなくてはならなくなりました。
入所希望者の手続きが煩雑なのはもちろんの事、申し込みを受けた施設も膨大な待機者を抱えてしまい、時間が経過するに従って実際に待機者のうちでどれだけの方が申し込み時と同じ状況にあるかを把握することが出来ない状態となってしまいました。
そのような事から介護保険保険者となっている自治体が入所手続きの煩雑さを解消するために、そして入所対象決定について申し込み順では無く施設での介護の必要性に応じた入所が行えるよう介護老人福祉施設入所指針を各介護保険保険者が決定しました。
介護老人福祉施設入所指針を横浜市の場合で見てみると
日本で最大の市で370万人もの人々が住む横浜市は、国から施策を下ろされる時に「横浜市が転けると皆転ける」と言われる自治体であります。その横浜市の「特別養護老人ホーム入退所指針」を参考にして、施設入所についての条件や手続きを確かめてみます。
まず入所申し込みの手続きは「特別養護老人ホーム入所申込書」を特別養護老人ホーム入所申込センターに郵送します。センターは申込書を管理し申込者本人が希望する施設へ情報を送ります。情報を受けた施設は入退所検討委員会で優先順位の決定、入所の決定を行います。
入退所検討委員会は基準項目について市が定めた基準に基づいて点数化してその合計点数(最高点は100点)の高い者から順番に優先順位を決定します。基準項目とは①要介護度②入所希望者本人の状況③主たる介護者である家族の状況④横浜市内居住者⑤その他特記事項であります。そして、点数が同じ者については、①年齢②地域性を判定基準とすることになっています。その他、特別な事由による優先入所がありますが、これは虐待等で生命の危険性があると福祉事務所が判断し老人福祉法の措置を行う場合と3ヶ月以内の入院による退院者の扱い、緊急を要する場合についての規定であります。
入退所検討委員会で入所対象者となり入所優先順位が決定し名簿に記載され入所の順番が回ってきたときには、施設の利用状況を勘案して入所が決定される事になっています。
各都道府県単位もしくは市町村ごとに同様な指針がありますので、介護老人福祉施設入所を検討する際には必ず確認が必要であります。