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介護事故には予測可能なリスクと予測不可能なリスクがあります

介護事故のリスクは、介護ケアの提供が行われる事でハザード(危険有害要因)がリスクとなります。介護ケアのハザードは、介護ケアの利用者、提供者、環境の3種類があります。介護事故のリスクには、①予防されるリスク、②予測されるリスク、③回避されるリスクがあると考えられます。

①予防されるリスクは、感染症のように月・季節・年単位などで、中・長期の継続的なリスクの対応、予防が必要なリスクです。リスクが顕在化すると介護事故の連鎖が生じたり、事故の規模が大きくなり介護サービス事業所(施設)全体に広がって、利用者だけでなく介護職員にまで及ぶ可能性があるリスクです。介護サービス事業所全体で取り組むリスクと考えられます。

②予測されるリスクは、介護ケアの提供の場や介護ケアの提供によって、介護の提供場面で顕在化することを予測することが可能なリスクです。介護ケアのリスクアセスメントの取り組みで、介護ケアの標準化手順を検討する際に、予測することが可能なリスクです。

介護ケアは個別性の高いサービス・支援が求められることから、標準化手順による一定の水準の介護ケアの提供だけで無く、それに加えて利用者に対して個別性の高いサービス・支援の提供が行われることになります。利用者に対して個別性の高いサービス・支援の提供によって顕在化するリスクついては、ケアプランや介護サービス計画を作成する際に、予測することが可能なリスクです。

標準化手順で行われる介護ケア、個別性の高い介護ケアのための予測可能なリスクは、介護ケアのケアチーム(利用者個人単位でのケアチーム、介護ケアのサービス単位のケアチーム、など)で共有しながら、リスクの低減や対応を取り組んで行くリスクと考えられます。

③回避されるリスクは、介護ケアと利用者の心身の状態との間の齟齬や、利用者と環境との間の齟齬などで生じるリスクです。利用者が主体となる介護ケアを行うために、利用者の心身の状態や環境への適応状態を知る事で、利用者に添うサービス・支援の提供が行われる場面で、予測することが困難な利用者と介護ケアとの間の齟齬によって生じるリスクの顕在化を察知し、速やかにリスクの低減や対応が行われるリスクです。

回避されるリスクは、介護職員が介護ケアのサービス・支援の提供場面で五感を働かせて、利用者と介護ケア、介護環境との間の齟齬、通常との差異を察知することが必要なリスクと考えられます。ヒヤリハットに至らなくてもケアチーム内で共有が求められるリスクであり、ヒヤリハットに準ずるものとして扱うか、記録に詳しい記載が行われる必要があると考えられます。



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