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誤薬事故の予防は介護ケアの標準化が必要です

高齢者は加齢による病的老化や生活習慣病などによって、医療機関への受診と投薬を受けることが多く、さらに多くの疾病のために多科受診となり、そのために多くの種類の薬が処方されることになり、処方ごとに薬の種類、量、時間、方法が指定されることから、服薬のための薬の準備から服薬までの間には、誤薬事故のリスクがいくつも存在します。

誤薬事故は、ヒューマンエラーによるものがほとんどで、介護ケアの提供者だけが持つリスクと言えます。誤薬事故は、利用者の生命予後に大きな影響を及ぼす可能性があるものです。ケアチーム全体で常に大きなリスクを負っている事の認識を共有しながら、リスクマネジメントを行うと共に、利用者の疾病や処方されている薬についての知識を、常に全員が同じレベルに保つ取り組みが必要と考えられます。

誤薬事故の予防について「特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン」では、①配薬ボックスから薬を取り出すとき、②利用者のそばにいったとき、③薬袋をあけて口に入れる前の最低3回は、その薬が本人のものであるか確認することが基本事項であり、職員全員に徹底するとされています。

①から③までの場面での、薬と利用者との確認は当然行われるべき事ですが、確認だけでは誤薬事故の撲滅は困難だと思われます。

誤薬事故の予防には、①から③までの場面ごとの本人確認だけでなく、薬を分ける時から種類、量、時間、方法の間違いが生じる可能性があります。薬を分ける前に、処方された薬が弁別しやすいように、利用者別、時間別にマーキングや分包などを行う必要があります。薬を分ける作業は出来るだけ一人の職員が責任を持って行い、それをチェックする手順が標準化されることが必要と考えられます。

薬は、服薬直前に利用者のところへ持って行き、多の利用者が誤薬してしまわない配慮が必要です。服薬介助は、2人の利用者に一人の職員の対応とします。食事の際に出たゴミは、服薬前に棄てるようにして、薬を飲んだ後のゴミとは別にすることで、飲み忘れや取り間違いなどを確かめることが出来ます

誤薬事故のためのリスクアセスメントで、「なぜ・なぜ分析」というヒヤリハットや事故の原因を知る為の事例分析手法があります。「何が」、「どのように」、「なぜ」起きたのかということを、くり返し行うことでヒヤリハットや事故の根本原因を明らかにするものです。

誤薬は重大な事故につながるもののひとつであり、ヒューマンエラーで起きるものであり、リスクアセスメントの中で事例分析を行い、根本原因を明らかにしてケアチーム全体で対策に取り組む事が求められます。

参考:特別養護老人ホームにおける介護事故予防ガイドライン(厚生労働省)
   インシデントの事例分析再発防止に活かせるRCA(根本原因分析)の実践(多摩小平保健所)



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