リスクマネジメントとは、介護事故の予防と対策、介護事故が生じたときの迅速な対応、処理などを行うことです。リスクマネジメントはリスクマネージャーが中心となって行います。リスクマネジャーは、介護事業者ごと、介護サービス単位でリスクマネジメントを行います。
リスクマネジメントは介護事故対応と考えられがちですが、何よりも事故が生じないことが重要です。国も介護保険事故に対する安全管理体制の確保についての基準を、介護事故の防止が介護ケアの質の向上につながるとして、介護老人福祉施設と介護老人保健施設に対して定めました。
リスクマネジメントは、リスクマネージャーだけが行うものではなく、介護サービス事業所全体、介護サービスチームがリスクマネジメントに参加して、介護ケアの質の向上を目指すことで、介護事故を未然に防ぐ体制作りに取り組む事になります。
介護ケアのリスクマネジメントは、PDCAサイクルに沿って介護リスクの①抽出、②検討、③対策・対応、④検証、⑤再検討を行う事で、介護ケアの質の向上や介護ケア環境の整備などを目指して行きます。また、介護ケアは利用者の個別性を尊重したサービス・支援の提供を行うことから、介護ケア全体のリスクマネジメントだけでなく、利用者個別のリスクマネジメントも行う事になります。
介護ケアのリスクマネジメントは、介護ケアのサービス・支援の提供手順について、ひとつひとつ検討を行ってゆく事になります。介護ケアのサービス・支援の提供手順について提供手順の標準化を行う取り組みも併せて行う事も必要と考えられます。介護ケアの提供手順の標準化は、介護ケアの基準が共有されることで、リスクマネジメントのアセスメントやモニタリングなどがより適切に行われるだけでなく、経験差による介護ケアの差を少なくすることで、介護リスクが減少することにもつながります。
介護ケアは、高齢者などの自立した日常生活のために個別性の高い介護ケア、利用者が主体となる介護ケアを行う事を目的としています。介護ケアは標準化された介護ケアの提供手順に加えて、利用者の個別に必要となる介護ケアの提供方法を行うことになります。リスクマネジメントは標準化された介護ケアと利用者個別の介護ケアが提供されるために、ケアマネジメントや介護サービス計画と共に行われる事が適切だと考えられます。