障害者権利擁護のための法制度

国連総会で平成18年(2006年)12月に「障害者の権利に関する条約(障害者権利条約)」が採択されました。この条約は、平成20年(2008年)4月2日までに20カ国が条約に批准したことにより、平成20年(2008年)5月3日に、国際条約として発効しました。

我が国は、障害者権利条約の署名は平成19年(2009年)9月28日に行いましたが、批准については法律や制度、組織の整備が遅々として進まず、やっとのこと平成26年(2014年)1月20日に批准書を寄託して、平成26年(2014年)2月19日に我が国の条約として発効しました。

障害者権利条約は、障害者の人権・基本的自由の享有の確保、障害者の固有の尊厳の尊重の促進を目的として、障害者の権利を実現するための措置等を規定するものであります。

障害者権利条約には、その目的達成のために、8項目の原則が定められています。

①すべての人の固有の尊厳、自分自身で判断し選択する自由及び自立の尊重

②無(非)差別

③社会への完全参加とインクルージョン(包容)

④障害者を人間のさまざまな違いの一部と考え、違いを尊重し受け入れる

⑤機会の均等

⑥施設及びサービス等の利用の容易さ(アクセシビリティ)

⑦男女の平等

⑧障害のある児童の発達しつつある能力と、アイデンティティを守るための権利を尊重する

障害者権利条約を締約した国には、条約に基づいた義務が生じ、それに伴うあらゆる措置を講じることが求められることから、我が国も法律や制度、組織の整備を後ればせながら行って、やっとのこと条約批准・締結に至りました。

障害者権利条約批准・締結の為に行われた国内法令の整備として、平成23年(2011年)8月に障害者基本法の改正、平成24年(2012年)6月に障害者総合支援法の成立、平成25年(2013年)6月に障害者差別解消法、障害者雇用促進法の改正が行われました。

障害者権利条約締結後は、国内の障害者施策が条約の趣旨に沿っているかをモニタリングする国内組織の「障害者政策委員会」や、国連へ条約に基づく義務の履行等についての報告書を提出し「障害者権利委員会」によってモニタリングされることになっています。

障害者権利条約締結国は、我が国が条約を批准・締結した時点では、米国を除くG8、中国、韓国、EUなど140か国と1地域機関となっています。



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