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障害者福祉制度の変遷と介護保険制度の関係

障害者総合支援制度に相当する障害者福祉制度は、介護保険制度が始まった時にはまだありませんでした。介護保険制度が出来るという話しが出始めた頃には、障害者福祉制度と介護保険制度とは、いずれは一つの制度になるという話しがありました。

介護保険制度が始まって、障害者福祉制度との統合の動きが、いつから動き出すか待っていましたが、制度運営上の不備が次々と浮かび上がり、とても障害者福祉制度との統合へ向かう制度設計やシステム設計に手を付けるどころではありませんでした。

介護保険制度の一回目の見直しに合わせて、障害者福祉制度との統合になるのではと予想してみたものの、その予想は見事にはずれてしまいました。障害者福祉制度の一部を単に≪措置≫から≪契約≫へ、≪応能負担≫から≪応益負担≫にしただけの支援費制度が、介護保険制度の見直しを待たずに開始されましたが、この制度が始まって感じたことは、この制度の寿命は長くは無いと思いました。

支援費制度の寿命は確かに短くて、わずか3年で障害者自立支援制度に変わってしまいました。全ての障害を対象とした障害福祉制度が出来たという事でありましたが、実際の制度の内容は、障害別の制度とほとんど変わりがなく、支援費制度と同じく新しい障害者のための制度とは感じられませんでした。

障害者自立支援制度が開始されてから、介護保険制度の第1号被保険者(65歳以上の高齢者)に対して、障害者福祉サービスの利用制限が強くなりました。本来は国民の権利であると思われる制度利用までも制限されるというような規定が見られて、障害者自立支援制度は障害者にも高齢者にも好ましい制度ではないと思いました。

障害者自立支援制度は、障害福祉制度として長く続いて行くのだろうと思われましたが、障害者総合支援制度へと変わる事になりました。何故という感じが強かったのですが、「障害者自立支援法訴訟」の事を知れば、なるほど国が障害者総合支援制度の新しい施策や改善点というところは、ほとんどが「障害者自立支援法訴訟」の合意書の内容でありました。

障害者総合支援法を制定するに当たって、今後ともに介護保険法との統合は目指さないという事が、「障害者自立支援法訴訟」の合意書にありましたので、これで障害者福祉制度と介護保険制度の統合は、「恒久減税」を「恒久的減税」と言いくるめて、廃止してしまうような宰相が現れない限りは、無くなったと考えて良いと思われます。

さらに超高齢化社会となって、障害者福祉制度の対象者が全て高齢者となったり、平均寿命が人口の減少とともに低くなることで、介護保険制度の第1号被保険者がいなくなったりすることが無いとは言えません。そのような状態にならないように、障害者総合支援制度、介護保険制度、それぞれの充実だけでなく、人口の増加と若年層や子どもたちが住みやすい社会を作り支えて行くための仕組みを、社会全体で考えて行かなければならないと思います。

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