障害福祉制度は、障害者の場合は、障害別の法律と障害者総合支援法や障害者基本法、社会福祉法などによって定められています。障害児の場合は、児童福祉法に基づき他の障害別の法律が児童を対象とする制度を場合には、他法制度を運用するという形に加え障害者総合支援法や障害者基本法などによって定められています。
障害者を対象とする障害別の主な法律としては、①身体障害者福祉法、②知的障害者福祉法、③精神保健福祉法、④発達障害者支援法があり、18歳以上の障害者を対象としています。障害児に対する法律は、障害別の法律ではなく、児童福祉法が18歳未満の全ての障害を持つ障害児が対象となり、児童福祉法に基づき他の障害別の法律制度が児童(障害児)を含む場合には、その制度を運用するという形を基本としています。
障害児・者への障害別の法律制度は、障害者に対する障害別の各法と障害児に対する児童福祉法によって定められていましたが、平成17年(2005年)に発達障害者支援法が、自閉症・アスペルガー症候群、学習障害(LD)、注意欠陥多動障害(ADHD)などの発達障害を持つ障害者・障害児の支援を目的とした包括的な法律として定められました。
<図1>障害者施策の変遷(出典:障害施策の変遷/神奈川県)
障害者に対する障害福祉制度は、各障害を対象とする法律制度によって、様々なサービス・支援の提供が行われて来ました。介護保険制度が始まるにあたって、障害者福祉制度の中で介護にかかわる障害福祉制度のサービス・支援については、介護保険制度で包括的に扱うことが望ましいという考え方が示されましたが、最終的には介護保険制度と障害福祉制度の統合は行われることなく介護保険制度が開始されました。
介護保険制度の開始後も介護保険制度と同様に、障害福祉制度のサービス・支援利用について、契約と受益者負担を原則とした支援費制度が実施されましたが、制度設計のミスもあったこともあり、わずか3年で障害者自立支援法へと全面的な制度変更が行われました。
障害者自立支援法は、「障害者自立支援法訴訟」の合意によって廃止とし、新たな法律を制定する事を約束しました。新たな法律の制定に当たっては、介護保険制度との統合を前提とせず、6項目の事項について「障害者権利条約」の批准と併せて検討と対応を行う事を、平成22年(2010年)1月、国は原告に対して合意しました。
①利用者負担のあり方
②支給決定のあり方
③報酬支払い方式
④制度の谷間のない「障害」の範囲
⑤権利条約批准の実現のための国内法整備と同権利条約批准
⑥障害関係予算の国際水準に見合う額への増額
(出典:障害者自立支援法訴訟原告団・弁護団と国(厚生労働省)との基本合意文書より)
平成25年(2013年)4月に、障害者自立支援法から「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」が施行されました。