「自宅の風呂に入浴したい」、寝たきりの母の希望
今回は80代のお母様を介護する、60代主婦の方の自宅改修に関するお悩みです。
「わたしの母は5年前に脳内出血で倒れてから、ほとんどをベッドの上で過ごしている寝たきりの状態です。母は最近、家のお風呂に入りたい、と口癖のようにつぶやきます。訪問入浴のさいに入浴車を利用する機会はあるのですが、自宅のお風呂が懐かしいようです。わたしの家は男手がありませんので、母を浴槽へ入れることがむずかしいのが現状です。母の願いをかなえるためには、どのように自宅を改修すればよいでしょうか?」
解決策は「入浴しやすい家づくり」
高齢社会の進展とともに、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」の問題があらわれてきています。相談者のご家庭では、男性の介護者がいないこともあって、力が必要になる介護が困難であると思われます。寝たきりの方の入浴介助を行うときには、「浴室までの移動」と「浴槽への身体の持ち上げ」に力が必要になってたいへんです。相談者のご家庭では、「少ない力でお母様の入浴を実現する家づくり」が目標になるといえるでしょう。
住宅改修の事例を紹介
既存の浴室が狭い場合には改修が困難であるケースがあります。そのような場合には、思い切って、お母様の寝室のなかに浴室を設置しましょう。介護用のバスタブなどを利用すると1畳程度のスペースで済みます。浴室まで移動させる労力が少なくなります。浴槽への持ち上げには、介護用天井リフトを設置しましょう。リフトの高さは上下しますので、ベッドからリフトへの乗り移りもかんたんです。お母様をリフトに乗せたまま、天井に設置したレールに沿って、浴槽まで運ぶことができます。今回のような改修ですと100万円前後の費用で可能です。自治体によっては、風呂の改修への補助金制度を用意しているところがありますので、ぜひ活用してください。