認知症の人が理解した事と、現実の隔たりを理解する
・怒り: 認知症の人がとらわれている不快感や被害感は、周囲に対する怒りとして現れることがあります。家族、医療介護者に対して、暴言を吐いたり、暴力を振るなど、身近な人に向けられることが多いようです。また、介護を拒否する行為も、怒りの感情からのものと考えられます。さらに認知症の人の暴言や暴力は、気持ちが落ち着いたからといって謝罪や感謝の言葉に繋がらないため、介護者や家族は不愉快な思いをします。話題をそらしたり、客観的に観察をしたり、自分自身がまず冷静に対応することが大切です。
・悲しみ: 認知症の人のなかには、怒りや不快感を外に向かって爆発させることを諦めてしまうケースがあります。そうなると感情を自分の中に閉じ込め、外への感情表現をしなくなります。暴力的な態度で介護を拒否していた人が、しゃべらなくなり、表情の変化もなくなったという場合は注意が必要です。
認知症の人の暴言は、自分の伝えたいことをわかったほしい、という強い欲求の現れでもあります。うまく同調しながら話を聞く姿勢を持ち続けることが大切です。
どんな場合でも説明をしてから行動する
認知症の症状がどれくらい進行しているかを調べるテストにはいくつか種類があります。病院や介護施設でも行われますが、こうしたテストを実施するときは、認知症の人だから説明してもわからないだろう、と決めつけて説明をしないで始めることは避けましょう。
いきなりテスト内容として「今日は何年何月何日ですか」とか「ここはどこですか」などと質問されても、認知症の人は戸惑うばかりです。また、テスト以外でも、着替えを促すとき、手洗いを促すときなども、「汚れているから」といった理由を説明し、着替えや手洗いが必要であることを伝えましょう。こうした会話の遣り取りが信頼関係を維持することに繋がります。