認知症の人を施設や自宅でケアをするとき、本人の日常生活を制限しないで、目で確認できる範囲で行動を観察し、今、どのような状況であるのかは把握することは大切です。
見守り・観察ケアを行うには、ケアをする人同士の連携や情報交換が重要になります。自分が中心になって見守りケアをする場合、見守る場所から離れるときには、新たに見守りをしてくれる協力者に「今までの観察内容」を詳細に、性格に伝える必要があります。そのとき、身体の不調や周辺症状についても観察し、伝達することが大切です。
見守り・観察ケアを行うことで、周辺症状の現れやすい時間帯や状況、原因などが探りやすくなります。また日頃から様子を観察しておくことで、急変にも気づきやすくなります。
認知症の人の健康管理
認知症の人は自分の体調の変化や気分が優れないなどの不調を言葉で伝えることが難しくなります。なんとなくいつもより不機嫌だ、とか、食欲がないようだ、とか、いつもとは違う、と感じることが大切です。
基本的な確認作業として、
・ 既往歴を見逃さない
・ 検査データを確認する
・ 食事・水分摂取状況を確認する
・ 顔色、皮膚の状況を観察する
・ 服薬の情報を確認する
が揚げられますが、これらも日常の様子を把握していてこそ活かせることです。また少しでもおかしいと感じる場合は、早急に医療チーム(専門医)との連絡が必要です。
認知症の人の家族との情報交換
認知症の人のなかには、施設などに来ているときは穏やかで楽しそうに過ごしていても、自宅に戻り、家族がケアしようとすると拒否したり抵抗するという人がいます。そうした自宅での状況は施設のなかだけで関わりを持っていたのでは把握できません。積極的に家族との関わりを持ち、お互いに情報交換できる関係を築くことが大切です。