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MRSA、肝炎の他にも注意が必要な4つの感染症の特徴と予防法

感染症は何より予防が大事
 MRSAや肝炎の他にも、注意すべき感染症はたくさんあります。代表的なものが、結核、インフルエンザ、O-157、疥癬。結核は、一時期はあまり聞かれなかったのですが、最近になってまた感染例が増えてきているので軽視できません。インフルエンザとO-157は、免疫力の低い子供や高齢者が感染しやすく、重症化して死亡するという事例も多く見られます。どの感染症も予防と早期発見・早期治療が大前提。手洗い・うがい・消毒をしっかり行って、まずは感染しないことに気を付ると同時に、病気について正しく理解しておきましょう。

結核の予防法
 結核とは、結核菌に感染することによって起こる感染症。全身性の疾患ではありますが、そのほとんどが肺におこりますので、結核=肺結核という認識で良いでしょう。そのため、せきやたん、血たんなどの気管支系の症状が出る他、高熱、胸痛、倦怠感といった症状が出ることがあります。ウイルス保持者のせきやくしゃみなどの中にいるウイルスを吸い込むことによる飛沫感染がほとんどのため、介護の際にはマスクを着用して感染を防ぎましょう。同時に、外で感染して介護者に感染させないように、ふだんからマスクをする生活を心がけることも大切です。

結核菌を吸い込んだからと言って、全ての人が病気を発症するわけではありません。また、すぐに死に直結するような病気ではなく、現代では有効な薬による治療で完治できます。とはいえ、介護が必要な高齢者などは免疫力が低く、発症の可能性が高くなり、また感染してもすぐには発症せず、数年~数10年経って免疫力が落ちた頃合いで発症するケースもあります。ウイルスに感染しているかどうかはレントゲンやたんを検査することで判明しますので、要介護者がウイルス保持者である場合は、周囲の人も念のために検査を受けることをお薦めします。

インフルエンザの予防法
 A香港型、Aソ連型といった名前を聞いたことがある人も多いと思いますが、A型、B型、C型の3つのタイプがあり、その年によって流行する型が変わるのがインフルエンザウイルスの特徴です。同じ型であっても流行する年によって微妙にその形が変化しているため、例えば過去にインフルエンザにかかったとしても、その時にできた免疫は役に立ちません。だからこそ毎年、予防接種が必要なのです。

ウイルスに感染し、発症すると高熱にうなされ、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身に症状が出ます。と同時に、のどの痛み、鼻水などの症状も見られ、症状が悪化すると気管支炎や肺炎などを併発し、重症化するケースも多く見られます。高齢者は免疫力が低いため、重症化して、最悪のケースでは死亡してしまう例もあります。そのため、まずは感染させないことが重要です。インフルエンザも結核と同様、ウイルス保持者のせきやくしゃみなどの中にいるウイルスを吸い込むことによって感染することがほとんど。介護の際だけでなくふだんの生活でも、マスクの着用は不可欠です。

O-157の予防法
 ベロ毒素と呼ばれる強い毒素をつくる、代表的な病原性大腸菌がO-157。普通の食中毒は100万個以上の菌がないと発症しませんが、O-157は100個ほどでも発症すると言われているほど毒素の強い菌です。感染は口からで、菌に侵されたものを食べることで感染します。感染すると激しい腹痛を伴い、最初のうちは水のような下痢、ひどくなると腸管から出血して鮮血便を引き起こします。集団食中毒の原因菌となり、特に子供や高齢者では重症化しやすく、最悪のケースに至る場合もあるので注意が必要です。

O-157は、75℃以上で1分以上過熱すると死減しますので、特に肉類を調理する時は十分な加熱が必要です。また、手や調理器具は十分に洗うことが大切で、特に調理器具は食品ごとに、そして調理するごとに流水で洗い、さらに熱湯をかけておきましょう。洗浄した後でしっかり乾燥させましょう。

O-157は便と一緒に出るため、感染している要介護者の便を処理する時にはゴム手袋を着用するなど、感染しないように注意が必要です。もし便に触れてしまった場合は十分に手を洗い、その後にしっかり消毒しましょう。便が付いた衣類なども消毒し、他の人の衣類とはわけて洗濯、しっかりと天日干しをしてください。お風呂のお湯を毎日変えるのはもちろん、感染者との混浴などはもってのほかです。

疥癬の予防法
 疥癬とは、ヒゼンダニという非常に小さなダニが人の皮膚に寄生して起こる、かゆみを伴う皮膚の病気です。指の間や脇の下、下腹部、陰部など皮膚の柔らかい部分に赤いぶつぶつのようなものができ、猛烈にかゆくなるのが特徴です。感染者の肌に直接触れることで感染しますが、少し触れる程度であればまず感染しません。また、感染者が使った寝具や衣類などを、交換せずに他の人が使用すると感染することがあります。

からだから離れたヒゼンダニは1日ほどで死滅しますが、油断は禁物。感染者が使用したタオルやシーツは消毒後に洗濯し、できれば高温乾燥を行いましょう。またヒゼンダニは日光に弱いため、衣服やふとん、クッションなどはまめに天日干しするのも予防になります。

要介護者が感染してしまった場合は、からだを清潔にするのが大切です。入浴したり、からだを拭いたりするだけでも効果があるので試してみてください。その際、介護者はゴム手袋を着用し、感染しないように注意しましょう。もし感染部分に触れてしまったら、流水でしっかり洗い、消毒することをお忘れなく。

食中毒の予防法
 O-157の感染とまではいかずとも、食中毒は怖い感染症です。特に免疫力・抵抗力の低い高齢者にとっては、感染から脱水症状を引き起こすなど重症化しやすいので注意が必要です。では、どのような注意ポイントがあるのか、ご説明しましょう。

調理する際には、介護者がしっかりと手洗い・消毒を行うことが必要です。生鮮食品はなるべく新鮮なものを使い、買って帰ったらすぐに冷蔵庫(10℃以下)や冷凍庫(-15℃以下)で保存するのが基本です。調理の際には、生で食べる野菜などは十分に流水で洗浄し、過熱するものはしっかりと中まで火を通しましょう。もちろん、温め直す時などもしっかりと加熱し、特に汁物などは沸騰させることを心がけましょう。

肉類や魚介類を調理する場合は、汁が他の食材にかからないように注意しましょう。また、肉用・魚用・野菜用と包丁とまな板をわけて使うことも大切です。同時に、調理台や食器、ふきんは常に清潔に保つように、消毒・洗濯することを心がけましょう。



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