手洗いが大切な理由
O-157やノロウイルスなどに感染して、残念ながら亡くなってしまう方もいます。そうした方は高齢者に多いのですが、その理由は、年をとるほどに免疫力が低下し、ほんの些細なことからウイルスに感染しやすくなるためです。そして、抵抗力も弱まっているために、最悪の結果を招いてしまうことが少なくないのです。
もちろん、介護の現場にも感染性のウイルスは蔓延しています。そのため、要介護者が感染しないように予防するのはもちろんのこと、介護者がウイルスを現場に持ち込まないようにしましょう。また、要介護者が既にウイルスに感染している場合もありますので、介護者からの感染を防ぐことも大切です。
勘違いしている人が多いかもしれませんが、ウイルスが付着したからといって、すぐに感染症を発症するわけではありません。付着したウイルスがある一定の量を超えて初めて、病気が発症するため、ウイルスの数を減らすことで感染症は防げるのです。例えば何かのウイルスに感染している人の血液に触れてしまったり、唾液が付いてしまったりしても、体内に取り込まれる前に洗い流せば発症のリスクは抑えられます。そのために、ウイルス感染予防のために有効な手段として、手洗いが挙げられるのです。
もみ洗いの正しい仕方
たかが手洗い、されど手洗いです。おざなりに手洗いをしていては、ウイルスの侵入を防ぐことはできません。皆さんも聞いたことがあると思いますが、基本は「もみ洗い」です。
まずは、なるべく石けんを使うことを心がけましょう。石けんを使い手のひらをよくこすったら、その後は手の甲もよくこすります。次に指先をしっかりこすり、指と指を組んでもむように洗っていきます。この時、親指もしっかりねじるように洗うと良いでしょう。最後に手首までしっかり泡を付てこすったら、泡が残らないように流水で洗い流します。この「もみ洗い」さえしっかり行えば、たとえウイルスが付着したとしてもそのほとんどは除去することができますので、介護の前後には必ず行うようにしましょう。
消毒液を有効活用する
石けんを使った手洗いが一番の理想ですが、市販の速乾性のある消毒液をすり込んだり、アルコールを含ませた布巾などで拭いたりしての対応も可能です。また、霧吹きにアルコール系の消毒液などを入れ、手先にシュッと吹きかける方法もあります。しかし消毒液を使う場合でも、その前に水洗いする方が効果的ですので、できれば流水で手を洗い流したいところですね。もし、水道の設備がないような場所だったら、洗面器に水を張り、その中に消毒液を入れて洗っても良いでしょう。
手指用の消毒剤には、いくつか種類があります。流水で洗う場合には「ヒビスクラブ」「イソジン」など、洗面器に張った水に入れて使用するタイプには「ヒビテン」「オスバン」「ミルトン」「ピューラックス」などがあります。また、すり込んで乾燥させるタイプの「ヒビスコール」「ウエルパス」「イソジンパーム」といったものもあります。使い方や使用状況などに合わせて選んでください。
どのように手を洗うにしても、指輪や腕時計をしたままでは、それらに付いたウイルスを完全に除去できるかは不確実です。手洗いの時は必ず、装飾品を外すことに気を付ましょう。
手肌のケアも忘れずに
ウイルス感染を防ぐためといって、あまり強くもみ洗いをしすぎますと、本人の手肌を痛めてしまうことがあります。かさついた肌やさかむけなどがありますと、そこにウイルスが付着しやすいですので、ハンドクリームなどで肌を保護してあげると良いですね。