遺産相続での悩み
皆様に少し想像していただきたいことがあります。お父様やお母様の介護を一人で一生懸命担当したのにもかかわらず、遺産相続の時に他の兄弟たちと全く同じ金額しか相続できなかったら、どのような気持ちになるでしょうか。親を介護するということは報酬を得る目的でするものではありません。ただ、自宅での介護を一人で担当する場合はかなりの重労働です。自分だけが親の介護を担当したのにもかかわらず、他の兄弟たちが当たり前のように自分と同じ金額だけの遺産相続をするとなれば、何か納得できない気持ちになるはずです。それでは、一人だけで親の介護を担当した場合、遺産相続の際にたくさんの分配を受けることはできるのでしょうか。
遺産をたくさんもらえる「寄与分」の制度
まず、確認しておきたいことですが、親の介護は子供にとっての当然の役割ですから、介護を担当したからといっても遺産相続で有利になることはないということです。しかし、これではあまりに不公平ですね。そこで、遺産相続に関係する法律の中には「寄与分」とよばれる制度が用意されています。「寄与分」の制度とは、介護を担当することによって節約できた金額があれば、遺産相続の際にその金額を上乗せすることができる制度です。例えば、訪問の入浴サービスを利用するかわりに、自分で入浴の介助を行えば、利用しなかった分の介護費用を節約することができます。こうして節約できた金額が100万円分だとすれば、皆様は遺産相続の時に100万円を余分に受け取ることができるのです。
まずは法律の専門家への相談が大切
「寄与分」の制度は自宅介護を担当する人にとっては有り難い制度です。しかし、法律に関係する内容になりますので、興味や関心を持った場合には弁護士さんなどのしっかりとした法律の専門家に相談してくださいね。