車イス選びのポイントは3つ
車イスには、利用する人になるべく負担がかからないように、足の置き場となるフットプレートや、肘かけといったパーツが付いています。そもそも車イスは座ったまま移動するためのものですが、付いているパーツの機能が十分でないと不便な場合があります。
車イスの基本的な使い方として「座る」と「移動する」とがあり、いかにスムーズに座ったり移動できたりするかが、車イス選びの重要なポイントになります。安定して座るためには、要介護者の体格に合わせて高さを変えられるかどうかがポイントです。そして、本人の力で移動するためには、車軸(後輪の中心に付いている軸)が前の方に付いている方が移動しやすいため、前後に動かせるタイプの車イスが良いでしょう。
更にもう一つのポイントです。介護では、車イスからベッドへ、車イスからトイレへ…など、「車イスから移る」というシーンが多いため、移りやすいかどうかも重要です。そのためには、フットプレートや肘かけが簡単に取り外しできるタイプが良いですね。
介護に理想の車イスとは?
フットプレートには立ち上がる時に左右に開閉できるもの(スイングアウト)もありますが、理想は着脱が可能なタイプです。というのも、フットプレートが付いたままですと、車イスからベッドやトイレなどに移る際に要介護者が足をひっかけたりして、転倒する危険性があるためです。左右のフットプレートをつなげるタイプのものですと、移動時の安定性がより高くなります。
肘から先の腕の部分を乗せておくための肘かけも、着脱式が理想です。本来は、座位姿勢を保ったり、立ったり座ったりする時に支えるためのものですが、介護者がサポートして車イスから移動する際、肘かけを外しておけば要介護者の体を支えるのも楽になります。
本人が移動しやすいように後輪の車軸が前後に位置を変えられるだけでなく、外せるのがベスト。着脱することによって自動車の乗降がしやすくなり、車イスを使って、より生活空間を広げることができます。
移動しやすいよう車イスを調整
要介護者の身長や体格に合った車イス選びが大切なのは言うまでもありませんが、なおかつパーツを調整できればベスト。本人が最も心地良く、また移動しやすいように調整すると良いでしょう。
フットプレートまでの長さは、座った時、座面に太ももがぴったりと付くくらいが理想です。短過ぎるとひざが浮いたようになって、おしりにばかり体重がかかり、逆に長過ぎるとつま先立ちしているような状態なって、ふくらはぎに座面の端が当たって痛みが生じてしまいます。
座面の大きさも重要で、小さいと窮屈で動きづらくなり、車イスに乗って移動するのが億劫になってしまいます。かといって、大きければ楽ということはありません。大き過ぎるとおしりがずり下がるようになって、姿勢が悪くなり、安定性が良くありません。あくまでも体のサイズに合った大きさの座面を選びましょう。
車軸を前の方にすると要介護者本人の力で移動しやすくなることは前述しましたが、更に高さも調整しましょう。立ち上がったり座ったり、また車イスとベッド間を移動したりする際にも、高さを調整することで動きやすさが格段に変わってきます。