介護用ベッドの理想の高さとは?
介護用品店などで販売されている介護用ベッドには、様々な種類があります。それほど介護用ベッドを選ぶのは大切で、寝たきりになるか、ならないかの分かれ道とも言えます。では、要介護者にとって理想的な介護用ベッドとは、一体どのようなものなのでしょうか。
介護用ベッドを選ぶ際のポイントは主に、高さ・幅・マットの硬さの3つ。中でも最も重要なのが高さです。
病院などで使われているベッドは、床からマットまでが高いのが一般的です。しかしこれは、医師や看護士が治療やお世話をするために便利な高さに設定されているだけであって、要介護者にとって便利とは決して言えません。ベッドへの昇り降りが困難というだけでなく、足が床に着かないと不安という人も多く、そのために寝たきりになってしまう人も少なくありません。
かのナイチンゲールも、著書「看護覚え書」に「病人のベッドはソファより高くていいはずがない」と書いているように、ベッドは低い方が好ましいでしょう。理想の高さとしては、ベッドに腰かけると床に足が着く高さ。そして、足を着けたとき、曲げたひざの角度が90度になるのがベストです。
ポイントを押さえて自立を促す
高さ以外の重要なポイントは、ベッド幅とマットの硬さです。
まずベッドの幅は、寝返りや起き上がりの動作がしやすい広さが理想的。病院のベッドでは「寝返りをうったらベッドから落ちるのではないか」と不安になる人も多いくらいですから、最低でも100 cm、できれば120 cmくらいはあった方が良いでしょう。ベッドでの動作がしやすくなれば、動くのが億劫ではなくなり、自立へと誘導しやすくなります。
次に、マットの硬さ。安静時は柔らかい方が良いとされていますが、自立を目的とする介護では違います。マットにからだが沈まず、動きやすいのは硬めのマット。マットの上を安心して歩ける程度の硬さのものを選ぶと良いでしょう。
その他、ベッドへの昇り降りをサポートする介助バーが付いているかどうか、立ち上がりの動作がしやすいようにベッド下の空間が空いているかどうか、といった点もポイントです。繰り返しますが、介護用ベッド選びは寝たきりになるか、ならないかの分かれ道とも言えるほど大切です。実際に見て、触れて、体験してから選んでください。