大脳皮質基底核変性症(corticobasal degeneration:CBD)は、原因が不明である脳神経変性疾患で、大脳皮質の前頭葉・頭頂葉と大脳基底核の神経細胞が脱落し、神経細胞やグリア細胞にτ(タウ)タンパクが異常に蓄積して行きます。τタンパクの異常な蓄積によって、大脳の前頭葉・頭頂葉や大脳基底核の神経細胞やグリア細胞の変性が生じることで、CBDの様々な症状が現れることになります。
≪大脳皮質基底核変性症(CBD)の症状≫
1.大脳皮質症状
●他人の手徴候:自分の意思とは関係なく手が動く
●半側空間無視:片方の空間を見落としてしまう
●失行
●失語
●把握反射:目に付く物や手に触れた物をつかもうとする
など
2.パーキンソン症状
●巧緻運動障害
●安静時振戦:早く不規則で衝動的にびくっと動くような振戦
●固縮
●ジストニア:手足に無意識に持続的な力が入ってしまう
など
CBDの典型的な症状には、身体の左右のどちらか一側性(片方)に症状が先行して現れ、≪片方の腕⇒同側の脚⇒反対側の腕⇒反対側の脚≫というように症状が現れて、その後も左右差が持続する特徴が見られます。
CBDの発症は、40歳代から80歳代にかけて見られ、好発年齢は60歳代と言われています。発病から臥床状態になるまでの期間は、およそ5~10年で、死亡までの期間は3~20年、平均6~8年とされており、男女差は見られません。発生頻度は、10万人に2人くらいと言われています。
CBDには、典型的な症状を示すものと、▼左右差の無い症例、▼認知症が前景に立つ症例、▼進行性格上皮性麻痺(PSP)の症状を示す症例といった非典型的な症例が数多く報告されています。CBDには、非典型例が多く多彩な症状が見られ、そのために鑑別診断が非常に難しく、生前には正しい診断が付いていない事が考えられるとされています。
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