神経変性疾患とは、脳・脊髄にある神経細胞の中で、ある特定の機能を持つ神経細胞群が、徐々に障害を受けて脱落して行く原因不明の疾病です。神経変性疾患には、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、プリオン病、ポリグルタミン病などがあります。
昔、「脳の疾患のなかで、≪何が何だかわからない≫原因不明の脳神経系の疾患に名付けられたもの」と教わったことがありますが、脳の中での変性の仕組みはわかりつつあるものの、どのような機序で、なぜ特定の人に起きるのか、始まりはいつなのかという事は、あまり良くわかっていない状態であるされています。
神経変性疾患の共通要因としては、加齢があると考えられています。また、ヒトの身体で生成されるタンパク質のうち、1/3は異常な構造(コンフォメーション)のタンパク質が生成されています。異常な構造のタンパク質は、通常は分解されてしまいますが、何らかの原因で分解・吸収されずに残存します。そして、異常な構造のタンパク質は、様々な毒性を現して神経系の機能障害などを生じさせたり、凝集・蓄積することで神経細胞の変性や脱落を引き起こすと考えられています。
神経変性疾患は、異常タンパクの種類によって、①タウオパチー、②シヌクレイノパチー、③ポリグルタミン病、④TDP-43プロテノパチーに分類されています。
≪神経変性疾患の異常蓄積タンパクによる分類≫
①タウオパチー(Tauopathy):リン酸化タウ(神経細胞、グリア細胞)
⇒進行性核上性麻痺、皮質基底核変性症、アルツハイマー病など
②シヌクレイノパチー(synucleinopathy):リン酸化αシヌクレイン(神経細胞、グリア細胞)
⇒パーキンソン病、びまん性レビー小体病、多系統萎縮症など
③ポリグルタミン病:ポリグルタミン(神経細胞)
⇒ハンチントン病、遺伝性脊髄小脳変性症(SCA)、歯状核赤核・淡蒼球ルイ体萎縮症(DRPLA)など
④TDP-43プロテイノパチー:TDP-43(神経細胞、グリア細胞)
⇒前頭側頭葉変性症(FTLD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ペリー症候群など
変性疾患は、ヒトの身体で生じている異常な構造のタンパク質の分解が阻害される原因を突き止めて、その原因となる身体のホメオスタシスの異常を止めたり、異常な追うゾウのタンパク質を除去することが出来るようになれば、これらの疾患を予防や治療が可能になると考えられます。
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