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介護保険の契約に不可欠な認知症の人の意思決定能力の把握の重要性と知っておかなくてはならない5つの意思決定能力

認知症の人は、認知症の重症度が軽度であっても、通常判断能力の低下が認められると考えられています。介護保険制度は、利用者と介護保険事業者との間での契約を行わなければ、原則としては介護保険サービスの提供を受ける事が出来ません。

認知症の人が介護保険サービスの提供を受けるためには、介護保険サービスの提供を受ける契約者本人である認知症の人に同意をすることが必要となります。介護サービス提供者は、意思決定能力についての把握が、介護サービス契約・提供の有効性を得るためだけでなく、介護サービスの提供についての信頼性・妥当性を得るためにも必要となります。

≪意思決定に関する能力≫

①意思決定にかかわる情報を理解する(理解:understanding)

⇒理解の確認は、意思決定にかかわる情報をわかりやすい言葉で言い換えたり、可能な選択肢を提示することで確認出来ます。

②得られた情報を論理的に操作する(論理的思考:reasoning)

⇒論理的思考は、意思決定に関するさまざまな利益とリスクとの比較が出来ることで、内的に首尾一貫した結果が、本人に持ち続けられていることが必要となります。

③意思決定の行われる状況や意思決定の結果を認識する(認識:appreciation)

⇒認知症に関連する症状を理解して、日常生活・社会生活にどのような支障が生じているかを、本人も問題として認識することが出来ているか、出来ていないかということになります。

④意思決定の結果(選択)を他者に伝達する(選択の表明:expressing a choice)

⇒意思決定の結果が一定であることが必要となるだけでなく、一度決定したことを理由もなく変えることは、選択の表明が出来ていないことになります。

認知症の人は、認知症が軽度の状態から判断能力の低下が認められ、認知症の進行に従って判断能力の低下は変化して行くものと考えられます。介護保険サービスの利用契約だけでなく、介護保険サービスの提供を行うに当たっては、利用者の意思決定に関する機能的能力がどのような状態にあるかを、介護ケアに当たる職員は知っておかなければならないと考えられます。

参考:認知症疾患治療ガイドライン2010

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