認知症症状や認知症様症状を示す疾病は数多くあり、「認知症疾患治療ガイドライン2010」では、主な疾患・病態として13分類、70種類以上が上げられています(http://www.neurology-jp.org/guidelinem/degl/sinkei_degl_2010_02.pdf)。
我が国で認知症として診断される疾病としては、アルツハイマー型認知症と血管性認知症が多く、その他にもレビー小体認知症、前頭側頭型認知症(ピック病)などの診断も増えてきています。
≪認知症の種類と疾患≫
Ⅰ.神経変性疾患
1.アルツハイマー型認知症
2.非アルツハイマー型認知症
1)レビ-小体型認知症
2)前頭側頭型認知症(ピック病)
3)進行性核上皮性麻痺
4)大脳皮質基底核変性症
5)ハンチントン病
6)パーキンソン病による認知症
など
Ⅱ.脳血管障害
1.血管性認知症
1)脳梗塞
2)脳出血
など
Ⅲ.その他
1.内分泌・代謝性・中毒性疾患
1)甲状腺機能低下症
2)肝性脳症
3)ビタミン欠乏症
4)アルコール依存症
5)ミトコンドリア脳筋症
6)薬物中毒
7)低酸素症
など
2.感染性疾患
1)クロイツフェルト・ヤコブ病
2)HIV脳症(AIDS)
3)進行麻痺(神経梅毒)
4)脳炎・髄膜炎
など
3.腫瘍性疾患
1)原発性脳腫瘍
2)転移性脳腫瘍
など
4.外傷性疾患
1)慢性硬膜下血腫
2)頭部外傷
など
5.その他
1)正常圧水頭症
2)多発性硬化症
3)ベーチェット病
4)サルコイドーシス
5)シェーグレン症候群
など
我が国の認知症といえば、以前は脳血管障害が原因となる血管性認知症が主なものであり、アルツハイマー型認知症は、血管性認知症より少ないとされていました。図1の疫学調査に見られるように、1990年代に入ると血管性認知症よりもアルツハイマー型認知症の割合が逆転しました。現在では、①アルツハイマー型認知症、②血管性認知症、③レビー小体型認知症が三大認知症と言われています。
<図1>認知症の有病率(出典:みんなのメンタルヘルス/厚生労働省)
<図2>認知症高齢者数の推移(出典:みんなのメンタルヘルス/厚生労働省)
図2は、1994年の資料に基づいた認知症高齢者数の推移でありますが、2012年8月の厚生労働省による発表では、≪認知症高齢者の日常生活自立度≫がⅡ以上の高齢者数は、推計で280万人(注:要介護認定申請を行っていない者を除く)とされています。65歳以上の人口に対する認知症高齢者の比率は、9.5%となっています。また、2015年は、345万人、10.2%。2020年では、410万人、11.3%と推計されており、1994年の資料に基づいた推計と比べると大幅な増加が見込まれることになります。
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