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-睡眠-高齢者では身体疾患数が多いほどに睡眠の質が低下して4個以上の疾患では睡眠の質が悪い比率は41%

高齢者の睡眠は、病的な睡眠障害が存在しない状態であっても、若年者に比べると、睡眠の質、効率は低下して行き、睡眠の深さも浅くなり、さらには睡眠の持続性も低下してしまいます。高齢者の不眠に、中途覚醒・熟眠障害が多い事と、睡眠の質や効率の低下との間には関連があると考えられています。

良好な睡眠習慣を確保するために、高齢者の日常生活について、日中の活動量の減少、生活の前倒しの傾向を見直すことだけでなく、夜間の飲酒習慣や日本茶などのカフェイン摂取量が多いことなどの日常生活習慣の改善についての取り組みが必要になると考えられます。

高齢者の睡眠に問題が生じる要因として、身体的な合併疾患の数によって、合併症の数が多くなるほどに、睡眠の問題と重症度が上がって行くとされており、55~84歳までの高齢者では、睡眠の質が悪いとされる比率が、身体疾患数が0個⇒10%、1~3個⇒22%、4個以上⇒41%となっています。

高齢者の睡眠に問題が生じる疾患としては、夜間頻尿、疼痛や痒みを伴う疾患や、呼吸器疾患、糖尿病、代謝内分泌疾患、心疾患などがあります。そして、治療のための薬剤にも、ステロイド製剤、β遮断薬、Ca拮抗剤などは、不眠が生じる原因となる可能性があるとされています。睡眠の問題に対して、睡眠薬の服用が考えられますが、睡眠薬と他の疾病の治療薬との間での相互作用や禁忌の問題が生じます。

高齢者の不眠の有病率は、70歳以上では30%近くに達するとされています。高齢者にとっては、心身への悪影響が大きく、合併症の発現、生命予後の悪化につながると考えられています。睡眠の問題の慢性化によって、不眠症からうつ症状の発生リスクを高める事になり、さらには認知機能にも影響を及ぼすことになります。睡眠の問題についての取り組みは、高齢者の心身の健康を保ちQOLを高めて行くことにつながる、とても重要なことであると言えます。

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