気分が塞いでしまう(抑)うつ状態は、感情の生き物であるヒトにとって、何時でも誰にでも起こり得ることだと思われます。ちょっとしたきっかけで、気分が沈んでしまいうつ気分になったり、反対に気分が昂揚する躁気分になったりします。
「物事に対する関心や取り組む意欲が失せて何もする気が起こらない状態が一日中ずっと、ほとんど毎日、2週間以上にわたって続いた状態」が2週間以上続いた場合にうつ病と診断されます。高齢者では、日常的にうつ病に至らないまでも、≪気分の落ち込み≫、≪気力の低下≫、≪集中力の低下≫、≪悲観的≫、≪自責の念≫、≪食欲の低下≫、≪不眠≫、≪便秘≫、≪易疲労感≫などという(抑)うつ状態・症状には、加齢に伴う心身の生理的老化や生活環境の状況に応じて、容易に生じる可能性があると考えられます。
うつ状態には、何時でも誰にでもちょっとしたトリガーがかかれば、個々の性格特性やストレス耐性によって、起こりえます。うつ状態になり易さ、回復のし易さも異なります。うつ状態になり易い性格特性・ストレス反応を起こしやすい性格特性としては、①自分より相手を優先する、②自分の考えや思いを強く主張しない、③神経質、几帳面で責任感が強い、④融通が利かない、⑤優先順位がつけられない、⑥秩序や権威を重んじる、⑦気持ちの切り替えが出来にくい、⑧周囲の評価を気にすることなどがあげられます。
性格特性やストレス耐性の如何によらず、うつ状態にまで至らなくても、憂うつな気分を感じる事は、日常的に誰にでも良くあることで、高齢者ではひょっとしたら毎日感じているかも知れません。
<図1>抑うつと憂うつ(出典:高齢者におけるうつ病対応マニュアル/糸魚川市)
憂うつ気分⇒(抑)うつ状態⇒うつ病となることは、意外に簡単に起こり得ることだと考えられます。高齢者の気分がどのような状態であるか、気持ちに添うかかわりをするためにも、コミュニケーションをはかることで知らなくてはなりません。
憂うつ気分の状態であるうちならば、対人関係や趣味など興味のあること、やりたいこと、やれることへの取り組みも可能であり、社会的な活動で改善も可能と考えられ、高齢者の気持ちの状態に応じた、高齢者に添ったかかわりを行ってゆくことが必要であると考えられます。
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