意識障害がどのような状態であるかについては、脳科学辞典(松田和郎・野崎和彦)「意識障害(http://bsd.neuroinf.jp/wiki/意識障害)」では、「意識がある状態(意識清明)とは、まず「覚醒」していること、加えて周囲を「認識」できる状態であり、開眼、言葉、動作などで外界からの刺激や情報に「反応」できることも必要である」と定義され、「意識障害とは、何らかの形で意識清明でなくなった状態である」と定義されています。
意識障害とは、意識清明でない状態であると考えられます。意識障害は、「覚醒」、「認識」、「反応」の程度によって、様々な状態があると言うことが出来ます。
医学の分野では、意識を便宜的に、≪x:覚醒≫、≪y:運動反応≫、≪z:意識内容≫の三要素に分けて考えるとされています。意識の三要素に対応した(急性期)意識障害の評価法に、世界で広く用いられているグラスゴー・コーマ・スケール(GCS)があります。また、意識の三要素のうち、≪覚醒≫に対応した評価法に、主に日本で用いられているジャパン・コーマ・スケール(JCS、3-3-9度方式)があります。
<図1>JCS/3-3-9度方式
意識障害の原因としては、①脳血管障害、②薬物過剰摂取、③アルコール中毒、④代謝障害(低血糖など)、⑤外傷などが上げられます。また、意識障害を起こす可能性がある疾患について、「カーペンターの分類」が≪AIUEOTIPS・アイウエオチップス≫として知られています。
≪AIUEOTIPS≫
A Alcohol:急性アルコール中毒
I Insulin:低・高血糖
U Uremia:尿毒症
E Endocrine:内分泌
O Oxygen:低酸素血症、Overdose:薬物過剰摂取
T Trauma:外傷、Tumor:脳腫瘍、Temperature:体温異常
I Infection:感染症(脳炎、髄膜炎、敗血症)
P Psychiatric:精神疾患
S Stroke:脳出血、Seizure:てんかん、Shock:ショック
意識障害は、重篤な疾病が原因であることが多く、医療的な緊急対応が予後にかかわることから、高齢者の意識障害が生じていることが確認された場合には、何よりも速やかな医療機関への救急搬送の依頼が必要と考えられます。
602405