口から飲んだ薬は、食道⇒胃⇒十二指腸⇒小腸へと送られる間に解け出てくる成分が吸収され、門脈という血管(静脈)を通って肝臓に入り、体内を循環する血液の中に送られます。血液に入った成分は、血液の循環と共に身体の色々な場所に運ばれ(分布)、その成分を必要とする場所で効果を発揮して、薬としての役割を果たします。その後、成分は主に肝臓で分解され(代謝)て、腎臓を経て尿に排泄されるか、肝臓から分泌される胆汁に混ざって便中に排出されます。
医師から処方された薬だけで無く、大衆薬(一般医薬品)、漢方薬、栄養剤、健康食品などについても、互いに影響し合う相互作用の可能性があります。医師から薬を処方される時だけで無く、薬や栄養剤、健康食品などを買い求めるときにも、服用している薬剤について医師や薬剤師に伝えたり、相談したりすることが、相互作用(薬-薬、薬-食品)を防ぐ為には必要と考えられます。
血液中の薬の濃度が一定以上になると、薬の効果(薬効)が現れます。大まかな目安としては、血液が身体を一周する時間は大体1分くらい、飲んだ薬が胃や腸で溶けて吸収され効果を発揮するまでには20~30分必要と言われています。薬が効果を発揮するまでの時間は、薬の形や解ける速さなどによっても異なります。薬は肝臓で分解されて排泄されるために、薬の効き目はずっとは続きません。薬の服用回数が定められているのは、薬の血中濃度を一定以上に保つことで、薬の効果を持続させるためであります。
服薬量を増やしたり、服薬回数を自己判断で増やすことは、薬の血中濃度を必要以上に高くすることになり、薬の副作用が生じる危険性があります。服薬量を減らしたり、服薬回数を減らすことは、薬の血中濃度を必要以下にしてしまうことになり、薬の効果が現れなくなってしまいます。
また、加齢に伴う生理的老化によって、肝臓で成分を分解したり、腎臓から薬を排泄したりする力が弱まるために、成分が身体の中に溜まりやすくなります。そのために、薬の効き目が強くなりすぎることがあり、注意が必要となります。
≪正しい薬の飲み方≫
①服用前に口の中を湿らせる
②できれば座って、上半身をまっすぐに起こす
③坐り姿勢が出来ない場合には、上半身を30度以上起こす
④コップ1杯の水または白湯で飲む
⑤飲み込むときは、うなずくようにう顎を引く
⑥下、頬や唇に麻痺のある肩は、頭と身体を麻痺の無い側に傾けて、スプーンを用いて飲む
⑦飲み込みにくい時は、ゼリーやプリン、粥などを利用する
(出典:高齢者のための薬の知識/日本薬剤師会)
≪服用時間≫
▼食後⇒食事のあとから食後30分位まで
▼食前⇒食事の30分から1時間位前
▼食直前⇒食事のすぐ前
▼食直後⇒食事のすぐ後
▼食間⇒食事と食事の間、食事の約2時間後が目安
▼寝る前⇒寝る30分から1時間位前
▼○時間毎⇒食事に関係なく一定の間隔で服用
▼頓服(頓用)⇒症状を一時的に抑えるために、頓用を支持された症状が出た時に服用する
※飲み忘れに気づいたら、医師や薬剤師に相談する。
※事前に、飲み忘れた場合の対処方法や、食事が不規則な場合の飲み方を医師や薬剤師に相談する。
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