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-薬剤の副作用-高齢者で注意が必要な薬剤有害反応から生じる薬の副作用を予防するポイント5つ

高齢者の薬剤の利用状況については、およそ半分の高齢者が複数の医療科に受診しており、1割近くが重複受診をしているとされており、1件あたりで4.63種類の薬剤を服用しているという、加齢に伴う病的老化によって数多くの疾病に罹患する可能性が高いということが明らかになるとともに、薬漬けになっているように思えると同時に、薬剤の副作用がどれだけ生じているか心配になってしまいます。

≪高齢者の薬剤利用≫

●平均疾患数:7.7(78.3歳)

●他科受診率:49.7%

●重複受診率:9.5%

●使用薬剤数:4.63種類/件

高齢者では、加齢に伴う生理的・病的老化によって、体内の水分量が減少し、代わりに脂肪組織の量が増えてきます。体内の水分量減少と脂肪組織の増加によって、高齢者の体内では、水溶性の薬は濃度が濃くなり、脂溶性の薬は多く蓄積するようになります。

また、加齢に伴う生理的・病的老化によって、肝臓や腎臓の機能も衰えて来ることから、肝臓が薬を分解しより無害な物質に代謝する機能や、腎臓で体外に不要になった老廃物を排泄する機能が低下することになります。そのために、多くの薬が若年者に比べて高齢者の体内にとどまる時間が長くなり、薬の作用を長引かせ、副作用のリスクを高めてしまいます。

≪高齢者の薬剤使用のリスク≫

1.加齢に伴い複数の疾患を合併

●多剤併用

●重複投薬

●薬物間相互作用

2.身体機能の低下による服薬の自己管理や服薬支援の必要性

●視覚機能低下

●聴覚機能低下

●嚥下機能低下

3.加齢による体内動態の変動

●腎機能低下

●肝機能低下

●体成分組成(筋肉量減少、体脂肪比率の増加等)の変化

薬剤は疾病を治すため、治療のために投薬され、服薬するものでありますが、ヒトの身体にとっては異物となり、有害な作用を引き起こす可能性があるものであります。医師は、薬剤の有害反応を熟知した上で、副作用や多剤服用の相互作用の可能性を見当した上で、治療に必要なものとして、薬剤の処方を行っていると考えられます。

≪薬剤有害反応≫

①予測可能なもの

●副次反応(狭義の副作用)

●中毒反応(広義の副作用:薬物有害反応)

②予知困難なもの

●アレルギー反応

●不耐症・過敏症

≪薬剤有害反応への留意事項≫

●併用薬の確認

●アレルギー歴、副作用歴の確認

●重複投薬・相互作用の防止

⇒薬-薬、薬-サプリメント

●日常生活の確認

●服薬管理者の確認

など

≪高齢者に起こりやすい症状の主な原因となる薬剤≫

●錯乱状態:睡眠剤、精神安定剤、抗うつ剤

●うつ病:メチルドパ、レセルピン

●転倒:催眠剤、精神安定剤

●起立性低血圧:降圧剤、利尿剤、催眠剤

●便秘:コデイン、利尿剤、排尿障害治療剤

●尿失禁:利尿剤、催眠剤

●パーキンソン症状:向精神薬

薬剤の有害反応で怖ろしいのは、重複投薬となります。高齢者のうちで約1割が重複受診をしているということは、同じ薬効の薬剤を投薬されている可能性が高く、治療のための薬剤で健康を害するだけでなく、薬剤性の重篤な疾病・症状を引き起こすことになりかねないことから、十分な注意が必要となります。

≪重複投薬の傾向≫

●内科/歯科⇒抗生物質

●耳鼻科/内科⇒抗アレルギー剤

●内科/皮膚科⇒睡眠導入剤

●内科/精神科⇒向精神薬

●先発医薬品/後発医薬品

≪重複投薬の防止≫

●どこの医療機関に受診しても同一薬局を利用

●薬歴の活用

●訪問薬剤管理指導

●地域包括支援センター、居宅介護支援事業所との連携

医師は慎重に薬剤を処方し、薬剤師も調剤を行っていますが、ヒトは個々の心身の状況はことなる事から、思わぬ薬効や副作用が生じることもあり得ます。そのようなことから、高齢者が薬剤を服用している場合には、高齢者だけでなく、高齢者にかかわる人達は、副作用の予防について日常的な取り組みが必要と考えられます。

≪副作用の予防≫

①自分の病気を良く知り、薬の名前、用量・用法をおぼえる

②お薬手帳を有効に活用して、病院や薬局からのお薬説明書を読み、大切に保存する

③飲み忘れを防ぐ工夫をする

④体調の変化(特に薬を服用したあと)に注意し記録する

⇒薬疹、発熱、頭痛、下痢、吐き気、眠気、怠さ、など

⑤信頼できる「かかりつけ薬局・薬剤師」を持って、包括的な健康相談を可能にする

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