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-低栄養-高齢者では死亡リスクが肥満より高くなる怖い低栄養(PEM)の目安はBMIが18.5未満

低栄養(PEM)とは、エネルギーとタンパク質の欠乏のために、健康な身体を維持しながら活動をするために必要とされる栄養素が不足する状態をいいます。高齢者では、食物や水分の摂取を十分に行うことが難しくなるために、低栄養の状態になる危険性が高くなります。

低栄養の基準は、①BMIが18.5未満、②1~6ヶ月間に3%以上の体重の減少が認められる又は6ヶ月間に2~3kgの体重減少がある、③血清アルブミン値が3.5g/dl以下、④食事摂取量が不良(75%以下)とされています。

ヨーロッパでの共同研究では、地域高齢者のPEMの頻度は4%程度、介護施設利用者では、19~38.6%、病院入院中の高齢者は、30~90%という報告があります。PEMの基準の一つである体重減少については、地域の自立高齢者では8~13%、地域要介護高齢者では25%となっています。

低栄養に至る高齢者に見られる要因としては、●食欲の低下、●咀嚼力、嚥下力の低下、●義歯、歯周病、齲歯などの口腔内の問題、●唾液分泌量の減少、●消化液分泌量の減少、●腸の蠕動運動の低下、●味覚の低下、●嗜好の変化、●うつ状態、●疾病の治療による痛みや薬剤の副作用などが考えられます。

高齢者が低栄養になることで、◆免疫力・抵抗力低下、◆認知機能低下、◆気力低下、◆骨量減少、◆体力低下、◆骨折の危険性、◆筋力低下など、心身の様々な機能にリスクが生じます。そして、低栄養のリスクを負うことによって、様々な体調の変化が引き起こされることになります。

≪低栄養による体調などの変化≫

●痩せ

●皮膚の炎症が起きやすい

●傷や褥瘡が治りにくい

●抜け毛や毛髪の脱色が多い

●風邪などの感染症に罹りやすい

●握力が弱くなる

●下肢や腹部がむくむ

●口の中や唇が乾く

●唾液がべたべたする

●食欲がない

●よろけやすい

●怠そう・元気が無い・ボーッとしている

●皮膚が乾燥して弾力が無くなる

など

低栄養を防ぐためには、栄養バランスを考えた食事や規則正しい食習慣を保つだけでなく、摂食行動の変化を見逃さないことが、日常的に必要となると考えられます。摂食・嚥下機能について、常に変化が見られないかを観察・確認しつつ、低栄養に対する予防や対策の取り組みを行う事が必要となります。

≪摂食・嚥下機能のチェック≫

●食べるスピードが遅くなり食べる量が減る

●知らない間によだれが出る

●咳の力が弱くなる

●口の中に食べ物を長くためている

●よくむせる

●うがいがうまく出来ない

●口から良くこぼす

●痰が絡みやすい

●声がかすれる

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