肩こりとは、後頭部から肩、肩甲部にかけての筋肉の緊張感を中心とする張った、凝った、痛いなどの不快感、違和感、鈍痛などの症状をいいます。国民生活基礎調査では、有訴率が女性では第一位、男性では第二位の自覚症状となっています。
肩こりに関係する筋肉には、僧帽筋、肩甲挙筋、棘上筋などがあります。主に首のうしろから肩、背中にかけて張っている、幅広い筋肉である僧帽筋が中心となるとされています。
肩こりは、ヒトが直立して二足歩行を行うようになることで、重い頭と腕とを肩で支えて立たなければならず、そのために肩こりが生じるようになったと考えられます。多くは首や背中が緊張する姿勢での作業や猫背や前屈みの姿勢、なで肩、ストレス、身体の冷え、ショルダーバッグなどの肩への負荷などが原因となりますが、疾病の症状として現れることもあります。
≪肩こりの原因≫
1.原因となる疾患が明らかではない肩こり
●不良姿勢:猫背や前屈みの姿勢、長時間の同一姿勢など
●ストレス:精神的なものやクーラーによる冷えすぎなど
●運動不足:なで肩など
2.整形外科的な疾病による肩こり
●頸部頸椎症
●頸椎椎間板ヘルニア
●頸椎捻挫
●頸椎後縦靱帯骨化症
●胸郭出口症候群
●頸肩腕症候群
●肩関節周囲炎(五十肩)
など
3.整形外科以外の疾病による肩こり
●高血圧症
●狭心症
●貧血
●更年期障害
●うつ
●眼精疲労
●齲歯、咬合不全
など
高齢者では加齢に伴う骨や腱の生理的・病的老化によって、頸部頸椎症、頸部椎間板ヘルニアや肩関節周囲炎などが生じることがあります。
ストレスや筋肉の使いすぎによる肩こりは、僧帽筋に現れるとされています。精神的な緊張が高まったときに肩に力が入ると、僧帽筋や肩甲挙筋などが持続的に収縮して、血流障害を伴う筋収縮による発痛物質(ブラジキニン、ヒスタミン)の産生が起こるために筋肉痛/肩こりが生じます。
≪肩こりの予防≫
①正しい姿勢を習慣づける
②同じ姿勢を長く続けない
③蒸しタオルなどで肩を温めて筋肉の血行をよくして疲労をとる
④適度な運動や体操をする
⑤入浴することで身体を温めてリラックスする
⑥十分な睡眠をとることで身体のメンテナンスをはかる
など
602336