吐血は、食道、胃、十二指腸などの上部消化管からの出血をいいます。口から血を吐く疾病には、吐血だけでなく、口腔内の出血や呼吸器からの出血(喀血)、鼻出血などがあります。
吐血では、真っ赤な鮮血が出る場合と、コーヒー残渣様(暗赤色、茶色~褐色、黒色)の血が見られます。鮮血色の吐血の場合には、食道からの出血や出血してから吐血するまでの時間が短かかったり、出血量が大量なものとなります。コーヒー残渣様色の吐血の場合は、血液中のヘモグロビンが胃酸と反応したために変色したもので、出血から数十分から数時間を経て吐血となったものと考えられます。
≪吐血の原因疾患≫
●鮮血
⇒食道静脈瘤:肝硬変の合併症として見られる
⇒食道がん
⇒食道炎
⇒食道潰瘍
⇒マロリーワイス症候群:アルコールの多飲・過飲や食中毒などで、嘔吐を繰り返したために、食道粘膜が脆弱になり出血
など
●コーヒー残渣様
⇒胃潰瘍
⇒十二指腸潰瘍
⇒胃がん
⇒出血性胃炎(急性胃粘膜病変):解熱鎮痛剤(経口薬・座薬)、非ステロイド系抗炎症剤、副腎皮質ホルモンの使用やアルコールの多飲・過飲、過度のストレス
など
<図1>吐血と原因疾患(出典:吐血/金沢医科大学病院・消化器内科)
口から血を【吐出】するのが【吐血】で、口から咳と共に血を[喀出]するのが[喀血]であります。喀血は、気管や気管支、肺などの呼吸器系の器官からの出血によるもので、鮮血色をしています。
≪喀血の原因疾患≫
●肺がん
●肺結核
●気管支拡張症
●肺炎
●肺梗塞
●心不全
など
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