味覚障害の原因の中では、薬物性による味覚障害が最も多く21.7%、次いで特発性・15.0%、亜鉛欠乏性・14.5%、心因性・10.7%の順となっています。
高齢者では、薬物性味覚障害が多いとされており、その原因としては併存疾患が多く、多剤服用の傾向があることが考えられます。薬物性味覚障害は、薬を服用開始してから、2~6週間で症状が発現すると考えられています。
薬物性味覚障害の要因には、①性、②年齢、③誘因となる疾患、④薬剤の種類の数、⑤薬剤の服用期間があります。
薬物性味覚障害のリスクは、男性:女性の比率は、3:2という報告があり女性に高く、米国の調査では、味覚・嗅覚障害患者の40%が65歳以上であるとされており、我が国でも同様の傾向があると考えられています。薬剤の服用期間が長期にわたるほど、薬剤の服用量が増加するほど、多剤になるほどに高くなると考えられます。薬物性味覚障害は、発症に至る時間や症状が様々となることから、初期の症状を確かめることは難しいと考えられています。
≪味覚障害の原因≫
●薬物性:薬剤の副作用によるもの
●特発性:味覚障害の原因や誘因が不明なもの
●亜鉛欠乏性:亜鉛不足によるもの
●心因性:うつ病、神経症、神経性食欲不振などによるもの
●嗅覚障害(風味障害):味覚障害の自覚症状が見られるがかぜなどが原因となる嗅覚障害によるもの
●全身性疾患:糖尿病、肝障害、腎不全、甲状腺機能低下、消化管切除などが原因となるもの
●口腔粘膜疾患:カンジダ感染症、舌炎、舌苔、口腔乾燥などによるもの
●末梢神経障害:舌・咽頭部・中耳・扁桃などの手術や外傷、顔面神経麻痺などが原因となるもの
●中枢神経障害:脳梗塞、脳出血、脳腫瘍、頭部外傷、多発性硬化症などによるもの
など
≪薬物性味覚障害の自覚症状≫
①味覚減退:味が薄くなった,味を感じにくい
②味覚消失・無味症:全く味がしない
③解離性味覚障害:甘みだけがわからない
④異味症・錯味症:しょう油が苦く感じる
⑤悪味症:何を食べても嫌な味になる
⑥味覚過敏:味が濃く感じる
⑦自発性異常味覚:口の中に何もないのに苦みや渋みを感じる
⑧片側性味覚障害:一側(片側)のみの味覚障害
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