腰痛を症状とする疾病には、消化管潰瘍の穿孔や尿管結石・腎結石などの腹部の内臓疾患や、腰椎椎間板変性症や骨粗鬆症による腰椎椎体圧迫骨折などの、腰椎の加齢に伴う病的老化に伴う疾患などがあり、様々な腰痛の症状の現れ方や経過、随伴症状などが見られます。
≪高齢者の腰痛疾患≫
●急性に発症
1)発熱・貧血、腹痛などを伴う
⇒腹部・後腹部臓器疾患
2)瞬時に発症(寝込む)
⇒急性筋肉性腰痛症(ぎっくり腰)
3)瞬時に発症(寝込み、徐々に軽減)
⇒骨粗鬆症による腰椎椎体圧迫骨折
4)瞬時に発症・下肢放散痛
⇒腰椎椎間板ヘルニア(高齢者は亜急性に)
5)徐々に増強(亜急性に)
⇒結核性脊椎炎、悪性腫瘍腰椎転移
●慢性的に経過
1)下肢に痺れ、間歇性跛行を伴う
⇒腰椎脊柱管狭窄症
2)腰痛のみ
⇒不撓性⇒変形性腰椎症、強直性脊髄炎、脊椎すべり症、強直性脊椎骨増殖症
⇒骨粗鬆症(円背、身長短縮)
⇒慢性筋肉性腰痛症
腰痛を症状とする腰痛症とは、運動時あるいは安静時に、腰部に痛みを感じる疾病の総称のことであります。ヒトが二足歩行してから、立位で腰部を酷使する人間の宿命的疾患であると、同じく立位でヒトの体重を支えることで酷使されて、膝に生じる変形性膝関節症と共に考える事ができます。
腰痛が生じる事で日常生活に制限が引き起こされて、体力が低下し、筋力の低下も引き起こされ、生活不活発病となることで、さらに腰痛が慢性化、悪化することになります。腰痛の予防には、①筋力低下を防ぐ、②有酸素運動を日常的に行う、③肥満・メタボリックシンドロームを予防・改善する、④同じ姿勢を続けない、⑤前屈みにならないようにする、⑥ストレス耐性を高めたりストレスをためない工夫をするなどの取り組みが必要と考えられます。
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